岸田文雄首相は8日、衆院議院運営委員会の閉会中審査に出席した。安倍晋三元首相の国葬(27日、東京・日本武道館)について「国政選挙において6回にわたり国民の信任を得ながら憲政史上最長の8年8カ月にわたり首相の重責を担った」「民主主義の根幹たる選挙運動中での非業の死だ」などと実施理由を述べた。
首相はその上で「国葬儀を行うことが適切であると判断し、閣議決定した」と強調。「安倍氏を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」とも述べた。
政府が総額約16億6千万円と説明している国葬の費用に関しては「過去のさまざまな行事などとの比較においても妥当な水準であると政府としては考えている」と述べた。国葬実施の基準については「政府が総合的にどういった形式をとるのか判断するのが、あるべき姿だと考えている。そのときの国際情勢や国内情勢で(元首相の)評価が変わる」と語り、事前に基準を設けるのは適切ではないとの認識を示した。
また、国葬にはシンガポールのリー・シェンロン首相、ベトナムのフック国家主席、カナダのトルドー首相らが参列の意向を示していることを明らかにした。米国のハリス副大統領やインドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相らも参列する。
一方、立憲民主党の泉健太代表は「(政府の)国葬決定は誤りで強引だ。検討しなければいけないことを放置しているから、国葬反対の世論が増えている」と批判。安倍氏について「自民党の中で最も旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係を取り仕切ってきた人物だ」などと述べ、国葬にはふさわしくないとの考えを示した。
首相は安倍氏と旧統一教会の関係について「ご本人が亡くなられた時点において、実態を十分に把握することは限界がある」と述べた。一方で、自民党と旧統一教会の関係に関しては「丁寧に国民に説明しなければいけないということで、点検結果について取りまとめを行い、説明責任を果たしていく作業を行っている」と説明した。