2足立ちでエスカレーターもOK 革新的なAI電動車いす LIFEHUBが開発へ

産経ニュース
LIFEHUBが開発している電動車いすの試作機。膝を伸ばすように前輪を上方に動かすことで、2足のような体勢をとる=東京都台東区(松村信仁撮影)
LIFEHUBが開発している電動車いすの試作機。膝を伸ばすように前輪を上方に動かすことで、2足のような体勢をとる=東京都台東区(松村信仁撮影)

エスカレーターにそのまま乗れる電動車いすの開発に、東京のベンチャー企業、LIFEHUB(ライフハブ、東京都台東区)が乗り出した。高齢者や障害者など足の不自由な人にとって、外出すること自体が大きな壁となっている。新たな電動車いすの開発が成功すれば、移動の世界が広がり、そうした人たちの社会参加を後押ししそうだ。

電動車いすをめぐっては、平地のみを走行するものがほとんど。ただ駅などの公共施設ではエレベーターが小さいことが多く、また数も限られている。ライフハブの中野裕士社長は「『他の人が乗れなくなってしまう』と、車いす利用者がエレベーターに乗るのを躊躇するケースが多いと感じた」と開発のきっかけを話す。

ライフハブは令和3年1月の会社設立以来、2足立ちができる電動車いすの開発に取り組んでいる。足回り、人間でいう腰から下の部分の開発を先行し、現在の3代目試作機にはいすが載ったかたちになった。

4輪だけど「2足立ち」

通常は4輪走行なのだが、エスカレーターに乗った直後に、まるでロボットのように前輪を30センチほど上方向に動かす。すると車いすの座面が上方に動き、後輪だけで車いす全体をささえていく。エスカレーターから降りる時には前輪が30センチほど下方向に動いて再び4輪の姿勢となる。

LIFEHUBが開発している新型電動車いすの足回りの完成イメージ(同社提供)

椅子の下に姿勢制御のセンサーを配し、常に安定した姿勢を保つ。2足立ちの状態の時、前方に姿勢が傾けば車輪が前方に、また後方に傾けば、車輪が後方に動くことでバランスを取る。かつて流行した立ち乗り2輪車「セグウェイ」とほぼ同じ感覚だ。

また車いすの前方の両側にも別センサーを配置し、前方の衝突物に近づくと、センサーと障害物の間の距離を自動で計算するとともに、障害物の形状を推定し、障害物の前で自動停止する。AI(人工知能)を使うことで、車いすの走行が増えるたびに、障害物との位置関係や形状を「学習」。衝突を未然に防ぎ、安全性を高める。

車いすを使う人がふだん利用をためらう場面はエスカレーターの乗り降りだけではない。例えば高い位置にある棚からのものの取り出し、さらには自動販売機での物品の購入などでも、この電動車いすが活躍しそうで、高齢者や障害者のライフスタイルを変える可能性もある。

ライフハブは、この車いすの開発をめぐって、「エスカレーター昇降の時の車いすの姿勢制御」など3件の特許を日本、欧州、米国ですでに取得。PCT(特許協力条約)に基づく国際特許も取得した。

LIFEHUBが開発を進めている新型の電動車いすの完成イメージ(同社提供)

海外販売、完全自動走行モデルも

令和5年に国内限定で数百台販売することを目指しており、その実現に向けた量産試作車の開発に近く乗り出す。9月4日から株式投資型クラウドファンディングサービスのイークラウド(東京都中央区)を通じて開発資金を公募。約4000万円の目標金額のうち、すでに約60%の約2550万円を集めた。

7年以降には海外での販売を目標に置いており、高機能モデルとして、手元のタブレットに入力した目的地に完全自動走行(レベル5)する電動車いすの開発にも乗り出す。

中野社長は「新たな車いすの開発を通じて、車いす利用者のさらなる社会参加を促したい」と話した。(松村信仁)

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