忍び寄るもう一つの感染症「薬剤耐性菌」 誰もがもつ常在菌でも確認 その危険性とは

新型コロナウイルスの感染拡大が人々の関心を引きつける一方で、もうひとつの感染症の危機が医療現場に忍び寄っている。抗菌薬が効かない薬剤耐性菌(AMR)だ。近年は病原菌だけでなく人間が体内にもつ常在菌でも耐性化が確認され始めており、7月には東京薬科大学などが複数の抗菌薬に耐性をもつ新種のレンサ球菌を発見した。国立国際医療研究センターのAMR臨床リファレンスセンター情報・教育支援室長の藤友結実子氏は、「身近な常在菌での耐性菌の出現は、将来的に非常に問題となる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

常在菌にも現れ始めた薬剤耐性菌。それが意味するものとは…(Getty Images)※画像はイメージです
常在菌にも現れ始めた薬剤耐性菌。それが意味するものとは…(Getty Images)※画像はイメージです

薬剤耐性がもたらすサイレントパンデミック

薬剤耐性菌とは、「抗生物質」や「抗生剤」と呼ばれる抗菌薬の不適切な使用などが原因で、抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなった菌のことだ。感染者が抗菌薬の処方時に指示された用法・用量を守らず、自己判断で服用する回数を減らしたり治療を中断した結果、体内の菌を十分に死滅させることができず、生き残った菌が薬剤耐性を獲得することがある

近年は複数の薬剤に抵抗性を示す多剤耐性菌も存在しており、さらには現存する抗菌薬全てに抵抗性をもつ「超多剤耐性菌」の発現も世界各国で報告されて始めている。日本でも、海外で手術を受けた帰国者が超多剤耐性菌に感染していた例が報告されるなど、もはや“対岸の火事”ではなくなっている。

多剤耐性菌に感染すると治療に使える抗菌薬の選択肢が減り、本来なら軽症で回復できるはずの感染症の治療が難しくなる。特に免疫が低下した患者や高齢者等では重症化しやすく、死に至るケースもある。新型コロナウイルスの重症化で人工呼吸器が必要となる状況では、薬剤耐性菌による二次感染も起きやすくなるため、コロナ禍の医療現場では「もう一つの感染症」として警戒されている。

世界的に著名な医学雑誌「ランセット」に掲載された最新の報告によると、2019年の薬剤耐性菌による関連死は世界で495万人、薬剤耐性菌が直接の原因となって死亡した人は127万人という推計が示された。国連は2014年に「このまま対策を講じなければ、関連死する人の数は2050年には世界で1000万人にのぼる」との予測を示していたが、そのわずか5年後に予測値の半数に達するという驚異的なスピードで事態が悪化している。

日本での主な薬剤耐性菌はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と薬剤耐性大腸菌で、国立感染症研究所の推計によると、これらに起因する国内死亡者数は年間約8000人(2017年)。とくに薬剤耐性大腸菌による死亡者数は年々増加傾向にあるという。

薬剤耐性大腸菌の菌血症が社会に与える社会的負荷は年々増加傾向に。※DALY(障害調整生命年):死亡以外にも後遺症や生活の質の低下等も含めた疾病が社会にもたらす負担を総合的に数値化した指標(AMR臨床リファレンスセンター/国立感染症研究所)
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