捜査に支障「失態」問う声 女性殺害容疑者、自殺企図

産経ニュース

保険金殺人という重大事件で逮捕された養子の高井(旧姓・松田)凜(りん)容疑者(28)は留置施設からの逃走を示唆しており、大阪府警は居室の巡回数を増やして対応していたが、自殺の決行を許してしまった。円形に裂いたTシャツの裾部分を居室内で隠し持っていたことが明らかになり、府警は詳しい経緯を調査している。凜容疑者は重篤な状態で、捜査の遅れは避けられず、「失態」に外部からも厳しい声が上がっている。

府警留置管理課によると、凜容疑者が首をつるのに使ったのは、着替えとして留置施設に持ち込み、居室とは別の場所にある保管庫にあった私物のTシャツだった。胴部分の裾を裂いたものを複数枚重ねて、円形のひもを作ったとみられる。保管庫の中身は、8月26日の点検で異常なしとされており、この日以降に保管庫からシャツを出した際に署員に隠れて加工し、何らかの方法で隠し持っていた疑いがある。

凜容疑者は7月20日から福島署で留置。捜査員との雑談で「逃走を考えている」という趣旨の発言をし、同時期に留置施設で巡回する署員の動きをうかがう様子も確認された。

府警の内規では、留置施設に収容する容疑者のうち規律の無視や粗暴な言動、病気などで注意が必要な容疑者を「特異被留置者」とし、警戒を強化すると規定。自殺をほのめかす言動や自傷行為など、特に自殺や逃走の可能性が高い場合は「特別要注意被留置者」として、24時間監視を続けるなど警戒をさらに強めることになっている。

府警は内規に基づき、8月19日に凜容疑者を特異被留置者に指定。通常の巡回は1時間に4回程度だが、午後9時から翌日の午前7時まで1時間あたり5回に増やしていた。一方、自殺をほのめかす言動はなく、カメラ付きの居室への留置は必要ないと判断。特別要注意被留置者への変更はしていなかった。

兵庫県尼崎市の連続変死事件で主犯格とされる角田美代子元被告=当時(64)=は平成24年12月、兵庫県警本部の留置施設で自殺。この際、県警は元被告が自殺を示唆していたため監視を強化していたが、目視で十分と考え、監視カメラを設置していなかった。

今回は自殺を示唆していなかったとはいえ、元検事の落合洋司弁護士は「留置施設で自殺を許してはならない。府警は形だけの巡回になっていなかったか、適切な身体検査の方法だったのかなど管理体制を徹底的に検証し、問題点を明らかにすべきだ」と指摘。容疑者が回復したとしても重い後遺症が予想され、「今後十分に取り調べができるとは言い難い。事件の解明に大きな支障が出るのは間違いない」と強調した。

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