関東大震災99年「首都直下」タワマンの課題は

産経ニュース
高層マンションは、首都直下地震などの発生時に「陸の孤島」となる可能性も。事前の対策が求められている=31日午後3時25分、東京都中央区(松井英幸撮影)
高層マンションは、首都直下地震などの発生時に「陸の孤島」となる可能性も。事前の対策が求められている=31日午後3時25分、東京都中央区(松井英幸撮影)

関東大震災から1日で99年。5月に東京都が公表した首都直下地震の新たな被害想定では、マグニチュード(M)7・3の「都心南部直下地震」が発生した場合、死者は6000人超、建物被害は約19万棟、避難者は約300万人に上ると算定されている。そうした中、新たな課題として挙がっているのが、臨海部に林立する高層マンションのリスクだ。「陸の孤島」となる可能性が高いタワーマンション。専門家は日ごろから大地震に向けた備蓄や訓練などを行うことの必要性を訴えている。

区の職員を派遣

20階以上の高層マンションが55棟ある東京都江東区。約53万人いる区民の8割以上がマンションなどの集合住宅で生活している。

これまで区は、災害時の避難所を約15万人分確保していた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大以降、避難者同士の間隔を空けたりコロナ感染者用のスペースを確保したりするため受け入れ人数を3分の1まで減少させ、現状は5万人分しかないという。「高層マンションの住民が一斉に避難すれば避難所の収容能力をすぐに超える」と区防災課の岩田勉課長(43)。「自宅で過ごせる方は自宅で過ごし、高齢者や障害者らに避難所に入ってもらう、ということを理解してもらいたい」とする。

区ではマンション住民と管理組合の役員向けにそれぞれ防災冊子を作成。住民向けの冊子では、家具の固定や最低3日分の食糧の備蓄などを呼びかけている。

品川区では、冊子の作成に加え、防災課の職員をマンションに派遣し、講演や防災訓練の支援などを行っている。平成29年度~令和3年度には計62件の支援活動を実施。区の担当者は「災害を自分事と考え在宅避難のための備えなどを進めてほしい」と話す。

とはいえ、不安は多い。江東区の15階建てマンション9階に家族4人で暮らす40代の女性は「エレベーターが止まったらどうすればいいのか」。タワーマンション10階に住む男性(70)は「対策をしないといけないとわかっているがしていない」と打ち明ける。

部屋で待機原則

具体的にどのような対策を取ればいいのか。

マンション防災を専門としている「防災ネットワーク研究所」代表の本瀬正和さん(70)は備蓄の重要性を指摘する。

首都直下地震が起きた場合、食料の供給がいつ再開されるかは「実際に起きないとわからない」。液状化などでインフラが破壊され電力供給が遅れればエレベーターも動かない。居住者は飲み物や食料を1週間~10日分蓄えることが必要という。

マンションの管理組合で備蓄を進めている場合もあるが、本瀬さんは「マンションで1週間分を備蓄するとなると相当なスペースが必要になる」として、現実的には各世帯での備蓄が大事だとする。

一方、管理組合には発生後の対応が重要になる。発災時は対策本部を立ち上げる必要があるが、マンションの理事には高齢者が就くことも多く、昼間だと若い人は外出していることからスムーズに対応できないケースも想定される。また、管理組合の理事は1、2年で交代するため、継続してマンションの防災に取り組むことが難しい。本瀬さんは「組合の中に、長期で活動する防災専門部門を立ち上げ、対策を進めていくべきだ」と話す。

日頃行われる防災訓練も注意が必要だ。「訓練自体は行われているが、地震と火災が混同されている」と本瀬さん。火災の避難訓練は火元から逃げる訓練だが、地震ではマンションに大きな被害がない限りは部屋にとどまることが原則となる。「安否確認や対策本部の立ち上げなど、地震を念頭にした訓練を行う必要がある」としている。(深津響)

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