110兆円超、膨れる概算要求 問われるメリハリ

産経ニュース
鈴木俊一財務相
鈴木俊一財務相

31日締め切られた令和5年度当初予算案の概算要求は2年連続で総額110兆円を超える大規模なものになった。ロシアのウクライナ侵攻を受けて防衛費が過去最大を更新するなど厳しい内外情勢を反映し、歳出圧力に歯止めがかからない。新型コロナウイルス禍で要求額や予算規模が年々膨らむ中、予算が効率的に使われない事例も目立っており、コロナ後を見据えた費用対効果の検証が課題だ。

「重要課題が山積するなかで、大変厳しい編成になると今から覚悟している」

鈴木俊一財務相はこう指摘する。5年度予算編成は新型コロナや物価高など足元の経済対策に加え、防衛や脱炭素、少子化対策など中長期の対応が必要な課題も別枠扱いし、金額を示さず事業内容だけ記載する事項要求を認めた。110兆円余りの要求額に今後、この〝抜け道〟分も上積みされ、当初予算は膨張する。

内外で喫緊の課題が重なる「戦後最大の国難」(岸田文雄首相)とあって、歳出規模の拡大自体はやむを得ない。とはいえ、コロナ禍で予算の大盤振る舞いが目立ったここ数年、政策目的や使途に疑問符が付く予算がたびたび指摘された。

例えば、コロナ対策名目で自治体に配られた地方創生臨時交付金では、収束を祈願する花火大会の開催経費や町役場の空調改修など、吟味されたとは言い難い使い道があった。国が実施できないきめ細かい対策を自治体が担ってきたとはいえ、効果の検証が不十分と改善を求める声がある。

社会・経済がウイルスと共存する「ウィズコロナ」へと徐々に移行し、今後はコロナ禍で緩んだ財政規律の見直しも必要だ。安全保障や経済成長に資する予算は大胆に増やし、逆に効果が薄い事業は削減するというメリハリが欠かせない。

政府は中央省庁の無駄遣いを点検する「行政事業レビュー」の書式を改善するなど、予算の費用対効果の検証を強化する方針だ。国の長期債務残高は1000兆円を超え、安易な借金頼りは将来的に財政への信認を失うことにつながりかねない。「賢い使い方」をいかに徹底できるかが課題になる。(田辺裕晶)

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