埼玉県松伏町は、ふるさと納税の返礼品にキャンピングカーを追加することを決めた。必要寄付額はなんと1100万円。運用を始めた平成27年度以降、ふるさと納税制度による財源の流出額が寄付額を上回る「赤字」の状態が続いていることから、話題性のある返礼品で町の知名度を高め、寄付の総額を増やすことを狙う。
返礼品は、キャンピングカー製作を手掛けるドコデモライフ(松伏町)の車両で、8月から寄付の受け付けを始めた。軽ワンボックスカーをベースに、大きな就寝スペースやキャンプ用品などの充実した収納空間を備えた車両だ。自治体のふるさと納税事業を支援するレッドホースコーポレーション(東京都墨田区)に相談し、同社とドコデモライフの間での調整を経て返礼品にすることになった。
必要な寄付額があまりに高いため、実際に手に入れようとする人が現れるかは見通せないが、町の担当者は「一人でもいれば…。例えば、何らかの開発案件で土地を売って臨時で収入のあった人が寄付するかもしれない」。何より「高級返礼品」によって話題になることに期待を寄せ、「これをきっかけに町を知ってもらいたい」と話す。
松伏町はこれまで、日本酒やうなぎのかば焼きなどを返礼品として扱ってきたがふるわず、「ずっと『負け組』だった」と町幹部。ふるさと納税が普及した最近はさらに収支が悪化し、令和3年度は寄付額約142万円に対し流出額は約3091万円に上った。
町は、必要寄付額2千万~3千万円のキャンピングカーを返礼品に加えることも視野に入れている。起死回生の策の成否やいかに―。(中村智隆)