ロシア極東の石油・天然ガス事業「サハリン2」を巡り、三井物産が、ロシア政府が設立した新たな運営会社に参画する意向を通知する方針を固めたことが分かった。日本政府はサハリン2の権益を維持したい方針で、旧運営会社の株主である三井物産と三菱商事に対して新会社に引き続き出資することを前向きに検討するよう要請していた。
三井物産は月内にも意思決定し、新会社への参画の意向を通知する見通し。
サハリン2の全ての権利や義務を引き継ぐ新たな運営会社はロシア政府の主導で今月5日に設立された。旧運営会社にはロシア政府系ガスプロムが約50%、英シェルが約27・5%、三井物産が12・5%、三菱商事が10%を出資していた。
ロシア政府は既存株主に対し、新会社設立後1カ月以内(9月4日まで)に新会社の株式を従来の出資比率に沿って取得することに合意するかどうかを通知するよう求めており、三井物産と三菱商事の対応が注目されている。ロシア政府は通知を受け取ってから3日以内に可否を判断するとしているが、日本側の意思表示を拒否する恐れもあり、サハリン2の権益を維持できるかは予断を許さない。
日本はサハリン2から、発電燃料や都市ガスの原料として使われる液化天然ガス(LNG)の需要量の約9%を輸入する。日本政府はサハリン2からのLNG供給が途絶すれば電力やガスの需給逼迫(ひっぱく)が起きかねないとして、権益を維持したいとの方針を示している。