年間10億円もの血税を使いながら軍事忌避をはばからず、自国の防衛研究にブレーキをかけてきた日本学術会議(本部・東京、梶田隆章会長)が迷走している。
そのブレーキを踏むのをやめようという動きと、踏み続けようという守旧派による「静かなバトル」が展開されているのだ。日本人の研究者から「学問の自由」を奪うことで喜ぶのは、日本をミサイル攻撃の標的にするどこかの国だけではないか。
学術会議は、法律で設置され、税金で運営されている。会員は先にも触れた通り、特別職国家公務員だ。それが1950年と67年の声明で「軍事研究は行わない」とした。2017年にも、防衛省(防衛装備庁)が先進的な基礎研究に資金を提供する「安全保障技術研究推進制度」の公募制度に対して、批判的な声明を出した。
自国の軍事研究は禁止する一方、中国とは15年、中国科学技術協会との協力促進を図る覚書を交わしたのだから、あきれるではないか。これは先述の安保技術研究推進制度の公募がスタートしたのと同時期にあたる。
ただ、学術会議には、民生と軍事の「デュアルユース」(軍民両用)の先端技術研究を否定しないサイレント・マジョリティーの存在がある。
日本共産党などの政治勢力の影響を嫌い、反国民的な姿勢の改革を進める動きが出始めているという情報が、筆者の耳にも入ってきている。歓迎すべき動きだ。