ただ、近江商人は決して「世間よし」を忘れません。同社は「寿長生の郷」オープン当初から自社を育ててくれた地元へ恩返ししようと、敷地内に食事処や茶店をつくって地域の人々をもてなしました。それがクチコミやSNSで評判を呼び、コロナ禍に陥ると、近隣の方だけでなく遠方の観光客も多く訪れるようになりました。今では滋賀県も積極的な観光PRに乗り出しています。
そんな「寿長生の郷」のおススメは、ここでしか食べられない叶匠壽庵の限定スイーツ。今夏は「ビビビ檸檬」とユニークな名前がついた和菓子が人気を集めています。濃厚な小豆でつくられた水ようかんとレモンを使ったカラフルな夏限定の涼菓子で、その意外な取り合わせが「ビビビ」と来るほど絶妙なことから、この名前がついたとか。
また「梅うつつ」と名付けられた和菓子は梅の甘露煮を包んだ梅のゼリーにかき氷が添えられたスイーツで、広大な梅林を見渡せるお食事処で味わえます。
日本一大きな湖・琵琶湖へのアクセスも意外にスムーズ。車で約20分のJR石山駅は京阪電鉄坂本線に接続していて、琵琶湖畔の浜大津駅まで15分で到着します。広大な琵琶湖は眺めるだけでも癒やされますが、夏は湖水浴やウオータースポーツが楽しめて、湖畔には清潔な天然温泉やホテルがそろっています。
これなら安心して家族サービスできそうですね。しかも子供たちはそろそろ夏休みの宿題を仕上げねばなりません。近江商人の〝五方よし観光〟は自由研究のテーマにもピッタリで、連れて行くとあなたの株も上がりますよ。
■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた〝ブーム仕掛け人〟。