東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定などを巡り、紳士服大手AOKIホールディングス(HD)側から計5100万円を受け取ったとして、東京地検特捜部は受託収賄の疑いで大会組織委員会元理事、高橋治之容疑者(78)を、贈賄容疑でAOKIHD前会長の青木拡憲容疑者(83)ら3人を逮捕した。受領資金の使途解明が捜査の進展を左右するとみられ、「次の狙い」が注目される。
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高橋容疑者は広告大手電通の元専務。特捜部は、AOKI側の意向を受け、電通からの出向者が在籍し、スポンサー選定を担っていた組織委マーケティング局に働きかけた疑いがあるとみている。組織委役員は「みなし公務員」にあたる。
高橋容疑者は逮捕後の調べに「現金は受け取ったが、賄賂という趣旨ではない」と容疑を否認しているという。
高橋容疑者のコンサルタント会社「コモンズ」はAOKIHD側から逮捕容疑の計5100万円のほか計約2億3000万円を受け取り、一部はコモンズに残ったとされる。高橋容疑者は聴取に「金融機関への返済に充てた」などと説明したが検事はしつこく経緯を聞いたという。高橋容疑者は政財界に幅広い人脈を持ち、関係者は「特捜部はこれを裏金にして、誰かに渡したと疑っている」との見方を示す。