コロナ第7波、病床使用率6割でも余裕なく 搬送先決まらず自宅で死亡も

産経ニュース
意識はあるが、心拍数や酸素飽和度が危険な数値を示している男性患者(ひなた在宅クリニック山王提供)
意識はあるが、心拍数や酸素飽和度が危険な数値を示している男性患者(ひなた在宅クリニック山王提供)

新型コロナウイルスの流行「第7波」が続く中、患者の症状が悪化して救急車を呼んでも、搬送先が決まらずに自宅で死亡するケースが出ている。東京都全体の病床使用率は6割程度だが、医療従事者の感染などで活用できない病床もあり、医療機関には見た目の数字より余裕がない。基礎疾患を抱え、重症化リスクの高い人ほど入院しづらいジレンマも生じており、現場の医師らは「本当に医療が必要な人に対応できる体制を確保する必要がある」と訴える。

100件電話も…

7月27日夜、ひなた在宅クリニック山王(東京都品川区)の田代和馬院長に、末期がんで自宅療養する男性(83)の妻から往診依頼の電話があった。「(夫の)食欲がない」。男性は抗がん剤治療を受けていたが、6月末から自宅療養を選択。闘病しながら美術館を巡り、孫と水族館に遊びに行く日々を送っていたという。

この日の診察では呼吸状態が悪くなかったため様子を見るように伝えたが、翌28日に「もっと元気がなくなっている」と電話があり、午後6時ごろに再度訪問。抗原検査でコロナ陽性が判明した。意識がもうろうとし、血中酸素飽和度は呼吸不全の状態に近い90%程度になっていた。

田代院長の勧めで妻が119番通報し、20分後に救急車が到着。だが、救急隊が医療機関に搬送依頼の電話を100件ほどかけたが、ことごとく断られ、2時間半たっても搬送先は決まらなかった。

午後10時ごろ、救急隊から対応を引き継いだ田代院長が再び訪問し、酸素投与などを行ったが、男性は29日午前4時ごろ、息を引き取った。田代院長は「病状は安定していたし、入院していたら回復した可能性は大いにあった」と話す。

過去最大の流行となっている第7波では、救急搬送に時間を要する事案が全国的に多発している。総務省消防庁によると、県庁所在地にある消防局など全国の主な52消防で、救急搬送困難事案が今月1~7日に6589件発生。このうち2873件はコロナ感染が疑われる事案だった。

お盆休みに不安

猛暑と重なったことで、熱中症疑いの救急搬送が増加していることも搬送困難事案に拍車をかける。お盆休みを迎え、発熱外来を開設している医療機関が休診するケースもあり、コロナで症状が悪化しても診療を受けられない事態が起きることが危惧される。

発熱などの症状があり、6日に検査でコロナ陽性と診断された大田区の男性(63)は、9日に症状が悪化したため、診断を受けた医療機関に電話したが、つながらなかった。結果的に保健所から健康観察の電話があり、症状の悪化を伝えることができた。

保健所から要請を受けた田代院長が駆け付けたところ、男性は顔面蒼白(そうはく)で、大量の脂汗をかいていた。意識はあったが、心拍数は130以上、酸素飽和度は85%。低酸素状態なのに自覚症状がない「ハッピーハイポキシア(幸せな低酸素症)」という危険な容体だった。それでも保健所による調整で、入院先が決まったのは10日だった。

田代院長は「医療関係者にも感染が広がり、マンパワーが足りなくなっている病院が少なくない。基礎疾患があるなど、本当に医療を必要としている人がかえって入院できない状況が起きている」と指摘。「治療を終えた人を速やかに退院させるなどの対応を行い、中等症以上の患者に対応できる体制を確保する必要がある」と訴えた。(長橋和之)

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