御朱印巡り

1300年の歴史 三面大黒天など用意 大蔵経寺(山梨県笛吹市)

自然と調和した大蔵経寺の庭園=山梨県笛吹市(平尾孝撮影)
自然と調和した大蔵経寺の庭園=山梨県笛吹市(平尾孝撮影)

今年で開祖1300年となる山梨県笛吹市の「大蔵経寺(だいぞうきょうじ)」は、開祖や中興の祖ら、主なゆかりの人物が歴史の教科書に登場するという寺院で、戦国武将の武田信玄、徳川家康も信仰した。庭園と天井画などでも知られるが、9月には、山梨県やJR東日本八王子支社などの観光キャンペーンで、庭園をライトアップするイベントが、初めて開かれる予定で、これも話題になっている。

大蔵経寺は奈良時代の養老6(722)年に行基を開祖として創建され、松本寺と呼ばれた。南北朝時代、足利義満の子供である観道が入山するにあたって、義満が甲斐の守護、武田信成に命じ、七堂伽藍(がらん)を応安3(1370年)に建立させた。これによって武田家祈願寺となり、観道が仏教聖典を総集した「大蔵経」を奉納したことから現在の寺号に改めた。

戦国時代の永禄11年(1568年)の信玄の越後攻めの際、戦勝祈願寺の一つとなり、武田家の守護尊である「将軍地蔵」が納められた。

江戸時代に入ってから、祈願寺にしたのが徳川家康で、家康秘蔵の「三面大黒天」や「権現堂厨子」などの貴重な宝物が残されている。このため、「武田菱」と「葵の紋」2つの家紋が同じ寺院にあり、あまり例のない状況だ。

大蔵経寺では今年初めて、ライトアップした庭園に舞台を作り、そこに石和温泉芸妓(げいぎ)が舞う「ナイトツアー」を開催する。JR東などのイベントのため一般には公開されないが、井上運俊副住職は、「ライトアップは、何らかの恒例のものにしていきたい」と新たな魅力の訴求につなげたいという。

大蔵経寺で人気の高い「不動明王」(左)と「三面大黒天」の御朱印状(平尾孝撮影)

御朱印状は、井上秀典住職(73)と運俊副住職(38)が書き入れている。もともとは本尊である不動明王座像にちなんだ「不動明王」と甲斐石和温泉七福神霊場であるため「寿老尊」の2つだったが、数年前から三面大黒天など計4種を用意している。

JR石和温泉駅から歩いて5分という立地のため、宿泊のチェックイン前の時間に参拝し、御朱印状をいただくケースも多いという。

今は、来年の大河ドラマ「どうする家康」効果への期待が大きい。前半では徳川と武田の争いが中心に描かれるためで、「その両方にちなんだ寺院として大蔵経寺に注目が集まってほしいですね」と副住職はうれしそうに話す。(平尾孝)

【大蔵経寺】山梨県笛吹市石和町松本610。電話055・262・2100。JR中央本線石和温泉駅北口から徒歩5分。中央自動車道一宮御坂インターチェンジからは車で約20分。御朱印状は300円。

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