主張

全数把握の見直し 第7波克服へ決断を急げ

産経ニュース

新型コロナウイルス禍の第7波で感染者が爆発的に増えていることを受けて、政府対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志が提言を公表した。

感染者の全数把握を見直すことや、初診に対応する外来医療機関の拡大などが盛り込まれた。法改正を伴う対策も含めて政府対応を促した。

オミクロン株の派生型「BA・5」の流行で発熱外来には患者があふれている。その結果、重症者らへの対応が滞る事態は許されない。それを回避するよう専門家が求めたのはもっともである。

個々人に感染予防になる行動を求めつつ、通常の保健医療に近づける提言だ。実施するには政治判断が求められる。

岸田文雄政権は、必要な対策を速やかに実行に移す決断をすべきである。第7波の沈静化を待つのではなく、今すぐ手をつけなければいけない。

喫緊の課題は、感染者の全数把握の見直しだろう。提言は、発生情報の把握を重症化リスクのある人などに絞るよう求めた。

医師による保健所への登録が追い付かなくなってきた。保健所は軽症者を含む情報把握に追われ、真に入院の必要な患者を見落としかねない。全国知事会も見直しを強く求めていた。

無論、見直す場合には解決すべき課題もある。全数把握をやめることで重症化率や流行の実態がつかめなくなってはいけない。これらを有効に推定できる定点観測の仕組みを作り、臨機応変に対応できる態勢にするのは当然だ。

軽症の自宅療養者らへの目配りも問われる。一人一人を把握しなくなっても、個々の健康を適切に管理し、容体悪化時には迅速に医療を受けられるよう備えを万全にしなくてはならない。

検査の徹底も重要である。薬局で検査キットを購入し、だれでも、いつでも、どこでも検査できるようにすべきだ。無症状でも陽性なら外出を自粛するよう自覚と協力を促す。これは濃厚接触者についてもいえることだ。

本来、こうした問題は、まず政府の分科会で議論すべきなのに専門家有志の提言が先行した。政府と専門家の足並みに乱れがある。政府が足元の危機的な状況に対応できていない証左である。

岸田首相は自らの指導力が問われていることを強く自覚すべきである。

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