(セ・リーグ、巨人1-2阪神、17回戦、阪神11勝6敗、3日、東京D)球筋から気迫がほとばしった。高卒4年目で初の2桁勝利を懸けた先発のマウンド。巨人・戸郷は出だしから11球連続で直球を投げ込んだ。
「後半戦の良いスタートを切れるように頑張る」と決意を込めていた。過去2年も9勝を挙げており、昨季は7月以降1勝と失速。同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。〝10勝の壁〟を破るべく、昨年と合わせて7度目の挑戦に臨んだ。
阪神戦の登板は今季3度目。7月12日の対戦(甲子園)では133球を投げ抜いてプロ初完封勝利を飾るなど、過去2試合で計17回無失点と上々の成績を残していた。
難敵との投げ合いだった。相手先発は自身6連勝中の伊藤将で、巨人戦では2試合連続完封勝利。投手戦が予想された中、先制点を許したのは戸郷だった。下位打線から始まった三回に四球で出した走者を犠打で進められ、適時打を浴びた。
0-1の五回には、梅野にソロを被弾。高めに浮いた初球を捉えられた。三回の適時打に続き、打たれたのは直球。狙い球を絞ってきた相手に、甘い球を仕留められた。
チームは新型コロナウイルスの集団感染に苦しみ、救援陣は勝ちパターンの顔ぶれがそろわない。「長いイニングを投げて勝利につながる投球をできるように」。戸郷は自覚を胸に腕を振り続けたが、8回108球、2失点で降板。10勝目はお預けチームも4連敗を喫した。(鈴木智紘)