「第7波」で疲弊する保健所「現場レベルの工夫は限界」

産経ニュース
廃校になった小学校校舎に設けられた保健所の分室で、発生届の入力を行う職員=1日午後、東京都江戸川区(末崎慎太郎撮影)
廃校になった小学校校舎に設けられた保健所の分室で、発生届の入力を行う職員=1日午後、東京都江戸川区(末崎慎太郎撮影)

オミクロン株の派生型「BA・5」が猛威を振るう新型コロナウイルスの「第7波」で、患者の発生届の処理や健康観察などにあたる保健所業務が増加の一途をたどっている。日に日に増す感染者の対応は想定を上回り「現場レベルの工夫では限界」との声も。政府は第7波の収束後、感染者数の全数把握を含めた感染症法上の分類の見直しに着手し、実現すれば保健所業務も軽減されるが、現場の担当者は現状の第7波を「走り抜けるしかない」と話している。

東京都江戸川区では、直近7日間の感染者数が1万846人に上った1日、コロナ対応に専従するため設けられた保健所分室で、約80人の職員が業務に当たっていた。「1日の感染者数が増えれば、累積する患者も増える。限られた人員での業務は、量的にも質的にも厳しい」。同区健康部の高原伸文部長はそう話す。

コロナに関する保健所の業務には、医療機関から送られる発生届の処理、患者の健康観察、重症患者の入院調整などがある。中でも発症日や症状を把握する初期段階での調査は、業務の大きな比重を占める。

区では第6波後の4月から、患者への電話調査を改め、原則、携帯のショートメッセージ(SMS)でのやり取りに変更。約20分を要した1件当たりの業務時間は5分の1ほどに軽減されたといい、応援職員の人員も4分の1程度に抑えることができた。

一方、第7波では、急増する患者の対応に追われる医療現場の逼迫(ひっぱく)が、保健所業務にも影響を及ぼしている。発生届の処理は原則、患者が受診した医療機関が、国の感染者情報管理システム「HER―SYS(ハーシス)」に入力し、保健所と情報共有する仕組みだが、入力作業に手が回らない医療機関からは、診察終了後の夜間に手書きのファクスが送られてくるためだ。区では感染者数が過去最多に迫る1972人となった7月29日、職員が約400件分の発生届入力を処理。現場職員からは「現場レベルでの業務の工夫で対処するにも、限界がある」と、今後を不安視する声が聞かれた。

昼間人口が多い渋谷区では、他自治体の住民が区内の医療機関を受診する割合が高く、区の保健所が受け取る発生届の件数は膨れ上がっている。7月27日の感染者1405人のうち約半数は、他自治体に居住していた。おおむね人口規模に応じて職員の数が定まる区役所だが、都心にある同区の保健所では、想定以上の仕事量を処理しなければならない。

第7波直前の6月中旬には、同区でも患者の症状や持病などの情報管理の簡略化を図るため、区独自の感染者情報管理システムを導入。発症日や症状に加え、具体的な持病や飲み薬などの細かな調査も可能となり、重症患者の把握もしやすくなった。同区保健所の阿部敦子所長は「保健所は症状だけでなく、患者の家庭環境などを総合的に考慮して、一人一人に適切な医療を届けるのが役割だ」と語る。

区では第6波の際、区医師会や訪問看護ステーションと連携し、往診や訪問看護の調整業務を見直したことで、患者1人当たりにかかる時間の大幅な軽減を実現した。ただ、阿部所長は「これだけ業務が増えると、重症化リスクのある患者をいかに迅速に医療機関につなぐかということに焦点化せざるを得ない」と現場の苦悩を明かした上で「今後の見通しはつかないが、この第7波を走り抜けるしかない」と話した。(末崎慎太郎)

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