スポーツ茶論

97歳の大先輩に聞きたいこと 北川信行

産経ニュース
神戸賀川サッカー文庫で賀川さん(前列中央)を中心に記念写真に納まる参加者ら=神戸市中央区(北川信行撮影)
神戸賀川サッカー文庫で賀川さん(前列中央)を中心に記念写真に納まる参加者ら=神戸市中央区(北川信行撮影)

神戸市立中央図書館の2階に「神戸賀川サッカー文庫」はある。97歳のサッカーライターで、産経新聞の大先輩でもある賀川浩さんが集めた国内外のサッカーに関連する貴重な本や資料が収められている。訪問者がサッカー談議に花を咲かせたり、親睦を深めたりする交流サロンにもなっているのが特徴だ。

新型コロナウイルス禍でなかなかサロンに集うことができなかったが、先日、サッカー文庫に久しぶりに活気が戻った。賀川さんの母校である神戸大学の後輩や親交を続けてきた人たちを中心に、賀川さんを囲んで大いに盛り上がった。賀川さんの矍鑠(かくしゃく)ぶりも素晴らしく、日本代表の現状について鋭い指摘を行っていた。私は戦前の映像を探している知り合いの研究者に頼まれ、賀川さんに紹介するために参加させていただいたのだが、賀川さんのお元気な様子に、すっかりうれしくなった。

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と同時に、賀川さんの肉声を録音し、賀川さんが経験してきたこと、取り組んできたことを後世に受け継ぎたいと強く思った。新聞記者、サッカーライターとして長年にわたって健筆をふるってきた賀川さんが書いたものは数多くあるが、肉声を録音したものは存在しない。賀川さんの健康状態を考えると、今が録音のタイミングではないか―と考えたのだ。

テーマは2つ。キーワードはともに「100年」。1つは昨年に日本サッカー協会が創立100年を迎えたことから「日本サッカーの100年」。もう1つは今年が産経新聞の前身、南大阪新聞が創刊されてから100年にあたることから「産経新聞の100年」である。少し風呂敷を広げ過ぎた感もあるが、2つのテーマを語れるのは賀川さんしかいない。

実は「産経新聞の100年」については、既に収録を始めている。陸軍の特別攻撃隊として現在の北朝鮮で終戦を迎えた賀川さんは復員後、京都で彫刻家の流政之さんとしばらく暮らしていた。転機が訪れたのは昭和26年。来日したスウェーデンのサッカーチームの記事を地元紙に書いたことが認められ、産経新聞への入社が決まった。

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賀川さんの上司の運動部長は1928年アムステルダム五輪の競泳選手だった木村象雷さん。記者としても豊富な五輪取材の経験があり、専門知識にあふれていた。賀川さんは「入社したときの上司に木村さんがいたことが、記者としてやっていく上で大きかった」と話す。後に作家として大成する司馬遼太郎さんは当時、文化部のデスクを務めていたという。

「昔の産経新聞の編集局は運動部の向こうに文化部があった。どの部も健筆家、文章家ぞろいで張り合っていたんだ。たとえば(助詞の)『〇〇が』なのか、それとも『〇〇は』の方がいいのか、そういうところまでいつもこだわっていた」と賀川さん。活気のある編集局には進取の気風があり、「いろんな新しいことに挑戦できて楽しかった」と振り返る。

これまで折に触れて賀川さんにインタビューさせてもらった。いつも感じるのは自分で質問を考え、取材対象に肉薄し、適切な言葉で文章をまとめる記者の基本の大切さである。

そういう部分を疎(おろそ)かにしなかったからこそ、100歳近くまでサッカーライターを続けられているのだと思う。

ともあれ、2回目の収録では、サンケイスポーツの創刊や大阪国際女子マラソンの創設について話してもらいたいと思っている。聞きたいことは、たくさんある。

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