東京五輪・パラリンピック組織委員会の資金受領事件で、高橋治之元理事(78)のコンサルタント会社が紳士服大手AOKIホールディングス側から、すでに判明した約4500万円とは別に、約2億3000万円を受け取っていたことが分かった。選手強化費名目とされ、一部は競技団体に寄付されたが、1億5000万円前後は高橋氏の手元に残ったという。東京地検特捜部が使途を調べている。
関係者によると、高橋氏が代表のコンサル会社「コモンズ」とAOKIが継続的な契約を結ぶ前後の2017~18年、AOKI側から広告大手電通の関連会社(当時)を通じて約2億3000万円がコモンズに送金されたという。
介在した電通関係者はAOKIの青木拡憲(ひろのり)前会長(83)の意向として「お礼なので自由に使っていいが、できればスポーツの発展のため、日本オリンピック委員会(JOC)の競技団体に寄付してほしい」と高橋氏側に伝えた。
コモンズはJOC加盟の日本馬術連盟と日本セーリング連盟にAOKI側の名義で数千万円ずつを寄付した。AOKI側としては、全額寄付されたとの認識だったとみられるが、1億5000万円前後が高橋氏側に残っていたという。
馬術連盟分は広告大手ADKホールディングスを経由しており、電通やADKも特捜部の家宅捜索を受けた。
AOKIは五輪関連で約7億5000万円を計上し、約5億円はスポンサー契約料、約2億5000万円を選手強化費としていたとされる。