国道沿いでのごみの投棄が問題化している。岡山県内の国道沿いで見つかったごみには、尿とみられる液体が入ったままのペットボトルが捨てられていることなどもあるという。岡山県内の国道を管理する国土交通省岡山国道事務所は「ごみの投棄は道路の美化を損なうだけでなく、増えれば通行の危険にもつながる。マナーを守ってきちんと処分してほしい」と呼びかけている。
見た目はお茶と同じ
「見た目は飲み残しのお茶と変わらないが、分別して捨てるため容器の中の液体を側溝に流して処分するときには放置されていた尿のひどい臭いがした」と話すのは、国道2号沿いの清掃作業のボランティアに取り組む岡山県備前市内で会社経営をする40代の男性。「捨てる瞬間を見たわけではないが、仕事などで長時間運転するドライバーが、車の中にもともと用意していた空のペットボトルに用を足したのでは」と男性は推測する。
男性が経営する会社では地域貢献活動の一環として数年前から会社近くの国道2号の清掃作業のボランティアに取り組んでいる。新型コロナウイルス禍前の活動ではマスク着用も一般的ではなかっただけに、強い悪臭が漂うペットボトルを処分する機会も珍しくなかったという。
男性の話を受け、同市内の国道2号を車で走行してみたが、投棄された液体入りのペットボトルやコンビニ弁当の容器などが投棄されているのを複数の場所で確認できた。
ボランティアら清掃
岡山国道事務所は、国道2号を含め30号など県内で計265キロの国道を管理。同事務所によるとごみの投棄は複数の箇所で見られるという。令和3年度に現場パトロールで確認・回収された国道上の落下物は9437件。そのうちペットボトルなどプラごみは1563件に上る。
投棄されたごみの処分にあたるのは委託された業者や地域で活動するボランティアだ。県内には清掃ボランティアに取り組む約70の団体がある。団体は、地域住民でつくられたものや業界団体でつくられたもの、学校や福祉法人を中心につくられたものなどがある。
ボランティアは、道路の清掃活動や道路脇の植樹・植え込みの手入れなども行い景観の美化にも貢献している。ごみの処分では自治体と連携し、ボランティアが集めたごみを地元の自治体が回収し処分。道路管理者はボランティアに必要な用具を支給したり、保険料を支払ったりすることで活動をサポートしている。
刑事罰の可能性も
ポイ捨て行為は軽い気持ちで行っているかもしれないが重いペナルティーもある。岡山県警によると、こうしたごみの投棄は廃棄物処理法違反(5年以下の懲役または1千万円以下の罰金)に該当する可能性もあるという。
国道への投棄ではないものの県内では昨年6月、岡山市中区の用水路内に使用済みの紙おむつ約4・2キロを投棄したとして同法違反で30代の会社員の男が逮捕された例がある。
岡山国道事務所は「ごみが投棄されると保守点検のパトロールや清掃活動などの手間や費用もかかる。景観を損ねるだけでなく、路上に放置されることで事故を引き起こす危険もある。ポイ捨ては絶対にしないでほしい」と呼びかけている。(高田祐樹)