「ご当地コーヒー」全国展開の野望 「鳥取でしょ」に奮起

産経ニュース
鳥取砂丘コナン空港の搭乗口近くに設置された澤井珈琲のドリップバッグ自動販売機
鳥取砂丘コナン空港の搭乗口近くに設置された澤井珈琲のドリップバッグ自動販売機

鳥取砂丘コナン空港(鳥取市)と米子鬼太郎空港(鳥取県境港市)に7月中旬、コーヒーのドリップバッグ専用自動販売機がお目見えした。鳥取ゆかりの漫画「名探偵コナン」と「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターをパッケージに描いた商品などを土産物として販売している。設置した澤井珈琲(同市)はインターネットのコーヒー通信販売で急成長。日本では難しいとされるコーヒー栽培に取り組むなど意欲的に新規事業への挑戦を続けており、ドリップバッグ自販機でも「47都道府県に設置し、全国制覇したい」と意気込んでいる。

「自販機も1店舗」

鳥取空港の搭乗待合室、搭乗口から5メートルほどの場所に自販機は設置された。販売しているドリップバッグは5~10袋入りのセット。かさばらず重くもなく、鳥取を離れる最後のお土産として手軽に購入できる。

「新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ観光に貢献したい」。ドリップバッグ自販機を発想した同社の澤井幹雄社長は、そのねらいを明かす。

鳥取空港では、同県北栄町出身の青山剛昌さんが生み出した人気漫画の主人公コナンを描いたパッケージに10袋を箱詰めした商品が主体。米子空港では、境港市出身の水木しげるさんのキャラクター鬼太郎のパッケージをメインに各10アイテムを、税込み650~800円で販売している。

自販機は両空港のほかに、隣接する島根県の観光施設・松江フォーゲルパーク(松江市)に設置。同県の出雲縁結び空港(出雲市)にも置くことが決まっている。コロナ禍による観光低迷は全国を直撃しており、同社は自販機設置場所ならではのパッケージを考案し、土産品とする考え。澤井さんは「店舗を構えると開店までに数千万円かかるが、自販機だと初期投資は少なくて済む。自販機を1店舗と考えて全国展開したい」と話した。

2人で始めたコーヒー豆販売の事業を年商48億円にまで発展させた澤井夫妻。鳥取県境港市の澤井珈琲本社には、ネット通販各賞の表彰状が壁一面に掲示されている

年商、20年間で17倍

令和4年3月期実績で年間48億2千万円の販売高を記録した澤井珈琲は、昭和57年設立で今年が創業40年。山陰両県に9店舗・工場、銀座と浅草、東京ソラマチと東京で3店舗、台湾でも1支店を展開する。

同社の成長エンジンとなったのは、平成14年に参入したネット通販だ。現在、同社売り上げの8割を占め、毎年、楽天をはじめネットショップで、売り上げや人気が上位の店舗に与えられる賞を数多く受賞。28年には「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」などネット通販の賞を12部門で獲得し、「12冠」に輝いた。

澤井さんは鳥取県米子市出身で、大学卒業後、同県に本社を置くバス会社に就職したが、32歳で脱サラ。雑誌で読んだ「米屋がオフィスにコーヒーを配達」という記事をヒントに、家庭でもインスタントではなくドリップコーヒーを飲む時代が来ると予測し、妻の由美子さんとともにコーヒー豆の挽(ひ)き売り販売を始めた。

飛躍の原動力となったネットショップでの販売は、長男で同社常務の理憲(まさのり)さんが始め、平成17年にコーヒーを挽く「ミル」に豆をつけて販売したところ爆発的な売り上げを記録。その後、メールマガジンや福袋販売で着実にリピーターをつかんだ。

「創業当初から、砂糖やミルクを入れなくても飲めるコーヒーを目指した。新鮮さと香りを大切にし、焙煎仕立てのコーヒーを提供している」と澤井さん。年商は、創業20年時(平成14年)の2億8千万円から約17倍に増えた。

2万本、青々と茂る

「鳥取でしょ。田舎のコーヒー屋に何ができるの」

約20年前、販路を広げようと東京で開かれた商談会に参加したとき、ある企業の担当者が発したこの言葉を、澤井さんは忘れることができない。

「ならば鳥取県にこだわろう」と決意を固め、地元ゆかりの技術を使った「氷温甘熟(かんじゅく)珈琲」を考案するなど、悔しさをバネに挑戦と成長を続けてきた。

平成29年、本社近くに第3工場を新設したのにあわせて、同敷地内で新たに始めたのがコーヒーの栽培だ。鳥取県は北緯35度に位置し、冬場には雪が降る。コーヒーは北緯25度から南緯25度にかけての「コーヒーベルト地帯」と呼ばれる地域でしか栽培はできないとされるが、工場敷地内にビニールハウス4棟の農場を造り、由美子さんを中心に無農薬で栽培。現在、約2万本が青々と勢いのある葉をつけている。昨年秋には、初めて花が咲き、豆も実った。

冬場には雪も降る鳥取県境港市に設けたビニールハウスで、約2万本のコーヒーの木の栽培に成功した

実は、コーヒー栽培は、豆の生産ではなく葉の活用が目的だった。富山大学教授の研究で、コーヒーに含まれる成分のトリゴネリンに認知症の予防効果が期待されることが判明。輸入豆を使ってコーヒーを作り、一方で木を自家栽培し、葉を煎じて「トリゴネコーヒー茶」をつくることを構想した。

農場で木は順調に生育しており、昨年はトリゴネコーヒー茶を年間約7500筒(15袋入り)販売し、今年は1万筒まで増産する計画だ。由美子さんは「新工場建設を計画しており、それにあわせて農場の見学施設もつくりたい」と夢を膨らませる。

二人三脚で会社を成長させてきた澤井さん夫妻は「コーヒーの飲み方は時代とともに変わっていく。お客さまが何を求めているか、半歩前を歩いて商品を提案していきたい。ドリップバッグ自販機をオフィスに置いて、会社勤めの人たちに飲んでもらうなど、澤井珈琲の一層の販路拡大を目指したい」と話した。(松田則章)

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