「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記

阪神、今オフに7年ぶりGM制度検討、候補には和田豊TA

産経ニュース
安芸キャンプで練習を見る和田豊TA、八木裕氏、平田勝男2軍監督(左から)=安芸市営球場(撮影・門井聡)
安芸キャンプで練習を見る和田豊TA、八木裕氏、平田勝男2軍監督(左から)=安芸市営球場(撮影・門井聡)

逆襲の虎が今オフ、7年ぶりのゼネラルマネジャー(GM)制復活を検討議題に挙げています。矢野燿大監督(53)率いる阪神は前半戦を46勝46敗2分けの勝率5割で終え、29日のヤクルト3連戦(甲子園球場)から始まる後半戦49試合で大逆転Vを狙います。しかし、奇跡の優勝を成し遂げたとしても矢野監督の今季限りでの退任は決定済み。来季新監督として球団内部では平田勝男2軍監督(62)の昇格案が膨れ上がっていることを先週のコラム(19日アップ)で書きました。さらに藤原崇起オーナー(70)=阪神電鉄本社会長=周辺では中村勝広GMの死去後(2015年9月23日、66歳で急逝)、空席だったGM制復活を本格検討している模様ですね。

■大逆転でも矢野監督退任

前半戦の最後の3連戦は見事な3連勝。本拠地・甲子園球場でDeNAをやっつけた阪神は46勝46敗2分けの勝率5割で後半戦に向かうことになりました。

矢野監督は「首位のヤクルトとの差を考えるより、僕たちの戦いをどれだけできるか。そのドラマを信じた中で貫けるか。ぜひ、ドラマを起こしたいと思います」と残り49試合に向けて〝メークドラマ〟を強調しました。

まだ首位・ヤクルトとのゲーム差は「11」。連覇を目指すヤクルトには優勝マジック「41」も点灯しています。残り試合とゲーム差を考えるならば、夢のようなドラマはとても完結するとは思えません。ただ、阪神ファンならずとも、今季のタイガースの軌跡を見るならば「ひょっとして…」「もしかして…」と頭の片隅にわずかな可能性を感じるかもしれません。

なにしろ開幕9連敗を含む、最初の17試合で1勝15敗1分けの記録的な惨敗スタート。9連敗を喫した直後には藤原オーナーが緊急会見し「それは当然です」と矢野監督の途中休養を否定し、火消しに回ったほどでした。それが、戦力を徐々に立て直し、6月以降は26勝13敗1分けのV字回復。最大16もあった借金を前半戦終了時点で完済したのですから、夢の続きを期待するのも当然? の成り行きですよね。

ただ、たとえ阪神が球史に前例のない大逆転優勝を飾ったとしても、矢野監督の今季限りでの退任は決定しています。春季キャンプ前日の1月31日の全体ミーティングで「俺の中で今シーズン限りで退任しようと思っている」と衝撃の退任表明を行った指揮官は優勝でも2位でも3位でもユニホームを脱ぎます。なので阪神は逆襲に転じたグラウンドの熱い戦いの舞台裏で来季の新監督選定作業にも着手する必要があります。

前半戦を終えた後、藤原オーナーは後任人事を問われ、「申し訳ないですけど今のところは。今のところペナントレースの最中でありますし、矢野さんをあるいは矢野さんに率いられたタイガースを積極的にサポートしていきたい、もうその一言です」と多くを語りませんでした。ただし来季以降のチーム造りに関しては「今、ドラフトで獲得してきた選手が頑張っている。これからも我々が求める選手をドラフトで獲得して、その人たちの良いところを伸ばしていく。腰を据えて選んで、腰を据えて育成して、そして活躍してもらう。それが一番いい方法かなという気はします」と語りました。

■理想の新監督像は

6月15日の阪急阪神ホールディングスの定時株主総会後の会見で谷本修オーナー代行が次期監督について「育成路線」を継承する人材を示唆していましたが、藤原オーナーも同様の考えを示したわけです。チーム造りに軌道修正や大改革は求めず、現状の流れを熟知し、踏襲できる人物が阪神球団の「理想の新監督像」となるわけですね。

こうした空気感の中で、球団内部では昨季、ウエスタン・リーグで優勝し、ファーム日本一も達成、今季も45勝27敗3分けでウエスタン・リーグ首位の若虎を率いる平田勝男2軍監督の名前が膨れ上がっていることを先週のコラム(19日アップ・「阪神新監督に平田勝男2軍監督の昇格案が浮上 球団内に待望論」)で書きました。阪神電鉄本社や球団からクレームもなく…(笑)、むしろ「球団内の声をどこから聞いても8割方は『次は平田やろ』と言っている。まだまだ決まってはいないだろうけど、最有力候補であるのは間違いない」というチーム関係者の言葉も届きました。

人事は下駄を履くまで分かりませんから、終着駅はどこへやら⁉ ですが、ここに来て、阪神電鉄本社内部から新たな情報が飛び込んできました。それが中村GM急逝以降、空席だったGM制の今オフ、7年ぶりの復活検討―という話です。

■長期ビジョンが不可欠

先日、藤原オーナーはあるアマチュア球界の大御所(高校野球界の重鎮)と会食したといいます。その席で、タイガースのチーム造りへのアドバイスを求めたそうです。すると大御所は戦力整備、チーム造りについては長期ビジョンが不可欠であり、プロ野球界を熟知している選手出身の指導者経験豊富な人材をGMに抜擢すべきだ-と説いたそうです。ヒアリングした同オーナーはGM制の復活を検討議題に挙げているという情報があるのです。

阪神球団は過去に一度だけゼネラルマネジャーを置きました。阪神で選手時代を過ごし、阪神監督やオリックスでGMや監督を歴任した中村勝広氏を2012年9月からGMとして招聘しました。大リーグでプレーしていた西岡剛や福留孝介の獲得や抑えの呉昇桓(オ・スンファン)、4番打者としてマウロ・ゴメスの獲得に成功。2年後の2014年、チームはクライマックスシリーズのファイナルステージで巨人に4連勝を果たし、日本シリーズに出場しています。

中村GMは2015年9月23日、チームの関東遠征に帯同中の宿泊先のホテルで急逝。シーズン終了後の11月19日には甲子園球場のグラウンドで「お別れの会」が開催されました。同GMの死去後、球団はゼネラルマネジャーを置いていません。もし、今季のシーズンオフと同時にGM制復活ならば、7年ぶりとなるわけです。

■プロの視点でアドバイス

阪神の場合、当時の中村GMの置かれていた状況から想像すると、大リーグのGMのような決裁権を持つほどの権限は与えられないでしょう。しかし、ドラフト戦略や近年は投資した金額の割には働かない外国人野手の獲得などで、プロの目から見たアドバイスが求められます。明日のタイガースを築く上で、GM制復活は悪くない選択かもしれません。すでに候補者の名前も噂としては流れています。現在は球団本部に在籍する元監督(2012~2015年)の和田豊球団本部付テクニカル・アドバイザー(59)が有力候補として囁かれているのです。

「平田がGMで和田が監督という説もある。どちらにせよ、現在のチーム造りの継承という意味では、この2人がキーパーソンだ」とは球団関係者の言葉ですね。

さあ、逆襲の虎はチーム造りにも手応えを感じ、明日に向かって着々と歩を前に進めるのでしょう。藤原オーナーは陣頭指揮で強いタイガースを築かなければなりません。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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