イラク国営通信は北部のクルド人自治区ドホーク州で20日、トルコ軍による攻撃があり、9人が死亡、20人以上が負傷したと伝えた。全員がイラク中南部から訪れていた観光客だとしている。カディミ首相は死傷者に子どもが含まれていると指摘、「トルコがまた明白な主権侵害をした。イラクには報復する権利がある」と強く非難した。
トルコはイラク北部で、非合法武装組織クルド労働者党(PKK)に対する軍事作戦をたびたび実施している。現場は国内の観光客が訪れるリゾート地に近く、巻き添えになった可能性がある。イラクメディアは、公園に対する激しい砲撃があったとも伝えている。カディミ氏は緊急の閣議を開き、トルコに駐在するイラクの外交官召還を決定。調査のため、フセイン外相をトップとする代表団を現場に派遣した。
一方、トルコ国防省は、トルコ軍の砲撃で民間人が死傷したとの報道を治安当局筋が否定していると説明。「事件はテロリストによって企てられた」と主張した。トルコ外務省は、テロとの戦いでは「民間人の保護に最大の注意を払っている」とする声明を出した。(共同)