【ロンドン=板東和正】英与党・保守党は20日、ジョンソン首相の後任を決める党首選の候補者を2人に絞り込む5回目の議員投票を実施した。インド系のスナク前財務相(42)とトラス外相(46)が決選投票に進出することが決まった。
党首選には、スナク氏ら8人が立候補。保守党は13日以降、同党の下院議員による投票を計5回行った。5回目の投票でスナク氏は137票獲得し、5回連続で首位に立った。トラス氏は113票。4回目の投票で2位だったモーダント前国防相(49)が105票で最下位となり、脱落した。今後、全国の党員約20万人による決選投票が行われ、ジョンソン氏の後継首相となる新党首が9月5日に発表される。スナク氏とトラス氏は約1カ月間、草の根の支持を取り込むために各地で選挙活動を行う。
優勢を保ってきたスナク氏は、米金融大手ゴールドマン・サックスなどを経て政界入り。39歳で財務相に就任し新型コロナウイルス禍の経済政策で党内で一目置かれてきた。党重鎮の支持も取り付けている。首相に就任すれば英国でアジア系首相が初めて誕生する。
トラス氏は外相就任前、国際貿易相として環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟申請などに尽力した。ウクライナ危機を巡りロシアへの制裁強化を主導し、外相としての実績も評価されている。
トラス氏はジョンソン氏に近く、新型コロナ対策の行動規制が敷かれた時期に首相官邸でパーティーが開かれていた不祥事についてジョンソン氏への批判を避けた。決選投票ではジョンソン派の支持を受け、スナク氏を猛追する見込み。