東京五輪・パラリンピック大会組織委員会を舞台にした金銭疑惑が浮上した。組織委理事を務めていた高橋治之氏(78)が、自身が代表の会社と大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」(横浜市)側の間でコンサル契約を結び、AOKI側から4500万円を超える現金を受け取っていた疑いがあることがわかった。20日付の読売新聞が報じた。
理事は「みなし公務員」とされ、職務に関する金品の受領を禁じられている。東京地検特捜部も同様の情報を把握しており、捜査を進めているもようだ。
高橋氏のコンサルタント会社は17年9月、AOKI側とコンサル契約を締結。コンサルタント料は総額では少なくとも4500万円以上になるという。AOKIは18年10月、五輪・パラのスポンサー企業のひとつとなり、公式ライセンス商品などを販売した。
高橋氏は大手広告代理店「電通」のスポーツ事業で頭角を現し、「日本のスポーツビジネスを変えた男」といわれるほどの大物。専務で退任した後、14年6月に組織委理事に就任した。
高橋氏を巡っては、ロイター通信が20年3月、五輪招致委員会から820万ドル(約8億9000万円)相当の資金を受け取り、国際オリンピック委員会(IOC)委員らにロビー活動を行っていたと報じた。
高橋氏はロイターに対し、ラミン・ディアク世界陸連前会長(セネガル)にセイコーの腕時計やデジタルカメラなどの贈り物をしたが、「賄賂を渡すなど不適切なことはしていない」と強調したという。