安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件は、発生直後から容疑者が元海上自衛官だと強調され、その後は母親が旧統一教会に入信して家庭が滅茶苦茶になったことが、犯行動機に絡み、ことさら詳しく報じられました。
容疑者の人物像は、事件の構造解明には重要です。ただ、それで犯行が正当化されるわけではなく、今回の「警護の大失敗」が帳消しになるわけでもありません。政治的意図があろうとなかろうと、容疑者にどんな個性があろうと、要人を守るのが任務だからです。
では、その警護はどうだったのか?
私が担当するニッポン放送「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜午前6―8時)では、国際政治アナリストでNPO法人海外安全・ 危機管理の会(OSCMA)代表理事の菅原出(いずる)氏に話を聞きました。
菅原氏は、治安の悪い地域に赴任する邦人や日本企業に対し、セキュリティーや警護の具体的アドバイスなどを行う専門家です。
「基本的に、最低でも警護対象者を守る人員2人、その前に前方を警戒する要員1人、後ろで全体を見ながら何かあったらすぐ駆けつける要員1人の計4人が必要。それが中核として警護対象者を守ります。『セキュリティーリング』と言いますが、対象者の周りをドーナツのように囲う態勢をつくるのです」