ロシアのプーチン大統領は19日、イランの首都テヘランで同国のライシ大統領、トルコのエルドアン大統領と3者会談を行った。3首脳は会談後に共同声明を発表し、内戦が続くシリアの安定のため連携を強化するとし、一方的な対シリア制裁に反対を表明。同国内でのテロ組織の活動を非難した。
タス通信などが伝えた。ウクライナに侵攻したロシアはイラン、トルコとの友好関係を誇示し、欧米の圧力に対抗する狙い。協議はシリア内戦に介入する3カ国が設けた枠組みで行われ、3首脳はそれぞれ二国間会談も行った。
ロシアとイランはシリアでアサド政権を、トルコは反政権派勢力を支援している。トルコは5月、「テロ組織」とみなすシリア北部の少数民族クルド人の民兵勢力を掃討するため軍事作戦を行う方針を示した。エルドアン氏はこの日も「テロ組織に対し行動せずにはいられない」と強調した。
プーチン氏は問題をめぐり、3カ国の間には隔たりがあるとする半面、「この地域から米国が撤退すべきだという点では一致している」と述べ、シリア東部などに駐留する少数の米軍の撤退を求めた。
一方、イランの最高指導者ハメネイ師はプーチン氏との会談で、「ロシアはプーチン氏の統治下で独立を維持している」とし、欧米に対して共闘する姿勢を示した。ウクライナに侵攻したロシア同様、イランも核問題で米国の厳しい制裁を受けており、両国は米ドルなど外貨を介さず互いの通貨で取引を決済することも協議した。
ロシアの侵攻でウクライナの穀物輸出が滞留している問題では、トルコが国連とともに両国の間を調停、解決に努めている。プーチン氏は先週、トルコ・イスタンブールで行われた4者の協議の結果に満足しているとし、「すべての問題が解決したわけではないが、動きがあった」とエルドアン氏に謝意を述べた。
プーチン氏のイラン訪問について米ホワイトハウスの高官は、ウクライナ侵攻でロシアがいかに孤立しているかを示すものだという見方を述べた。イランがロシアに軍用ドローン(無人機)数百機を提供するとの観測については、まだ供与した形跡はないとした。