来年3月に行われる野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、2009年の第2回大会以来の優勝を目指す日本代表は、1次リーグで韓国と対戦することになった。WBCでの韓国との対戦は第2回大会以来、14年ぶり。WBCで数々の熱戦を繰り広げた両国だけに、宿命の対決に向けて早くも火花を散らしている。
名誉挽回に燃える韓国
第5回大会は昨年開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い来年に延期された。大会には20チームが参加し、1次リーグはA~Dの4組に分かれて対戦。決勝は大リーグ、マーリンズの本拠地・ローンデポパーク(米フロリダ州マイアミ)で行われる。
今月7日(日本時間8日)に発表された1次リーグの組み分けで、日本代表は韓国、中国、オーストラリア、予選通過チームと同じB組(来年3月9~13日、東京ドーム)に入った。1次リーグは日本、台湾、米国で行われ、各組の上位2チームが決勝トーナメントに進む。
日本と韓国はWBCで何度も熱戦を繰り広げてきた。06年の第1回大会では1次リーグ、2次リーグで対戦し、いずれも日本が敗戦。雪辱を期した準決勝では6-0で韓国を破り、初代王者への足掛かりをつかんだ。
09年の第2回大会では、1次ラウンドで2度、2次ラウンドでも2度対戦し、2勝2敗。決勝では、延長戦の末に5-3で破り、WBC2連覇を飾った。これまでの経緯もふまえ、日本代表の栗山英樹監督は「(勝敗が)どっちにでも転ぶような戦いになるのは分かっているので、しっかりと準備して戦っていく」と意気込む。
一方、日本戦に人一倍闘志を燃やす韓国も、並々ならぬ決意だ。昨夏の東京五輪では準決勝で日本に敗れていることから、東亜日報日本語版は「(韓国の)野球ファンの関心が最も注目する試合は断然韓日戦だ」と報道。WBCでは13年の第3回大会、17年の第4回大会で1次リーグ敗退と不本意な結果が続いていることもあり、名誉挽回の機会としてとらえている。
鍵握る大谷の出場可否
14年ぶりの「日韓戦」に向け、両国ともに鍵を握るのが大リーガーの出場だ。
韓国メディアは「韓国国籍でない韓国系選手が合流する可能性もある」(中央日報日本語版)と報じた。母親がいずれも韓国出身のデーン・ダニング投手(レンジャーズ)、トミー・エドマン内野手(カージナルス)といった大リーガーの出場が取りざたされている。
日本代表で注目されるのは、昨年大リーグで最優秀選手(MVP)に輝いた大谷翔平選手(エンゼルス)。日本代表を率いる栗山監督は、日本ハム時代に指揮官として二刀流の活躍の機会を与えた、大谷の〝恩人〟でもある。オールスターへの出場が決まった大谷は、18日に行われた現地での記者会見で「出たい気持ちはもちろんある」とWBC出場に意欲を示した。
ただ、開幕直前に行われるWBCは故障のリスクもあるだけに、球団側が最終的に出場を認めるかどうかは不透明。大谷の出場の可否が注目される。