政府は19日、自民党経済安全保障対策本部(本部長・高市早苗政調会長)で、5月に成立した経済安保推進法に基づいて政府が重点的に支援する「特定重要技術」の基本指針案を示した。バイオ技術やAI(人工知能)など20分野で調査研究を進めると同時に、20分野の中から特定重要技術を選定し、研究開発に大規模な資金を投入する計画を盛り込んだ。先端技術開発を国家戦略として注力する中国を念頭に、国の支援と関与を強化する。
基本指針案では、国民生活や経済活動の維持にとって重要な「先端的技術」のうち、外部に不当に利用された場合に国家、国民の安全を損なう恐れがあるものなどを特定重要技術と定義する。技術の不当利用や研究開発情報の流出を防止するため、技術の適正管理や関係者への守秘義務を求める必要性を明記した。
調査研究を進める対象となる20分野には、脳コンピューター技術や音速の5倍以上となる「極超音速」、ロボット工学、ゲノム学を含む医療・公衆衛生技術、量子情報科学、宇宙関連技術などを列記した。関係省庁や有識者でつくる会議が技術を絞り込み、選定した特定重要技術の分野ごとに研究者を公募する。研究者に秘密の漏洩(ろうえい)や盗用があれば、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。
研究開発は政府機関や民間企業、シンクタンクなどで構成する官民協議会が支援し、5千億円規模を見込む「経済安保基金」から技術開発の資金を支出する。
自民経済安保対策本部は19日、基本指針案を了承した。政府は9月下旬に基本指針を閣議決定する見通しだ。