韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が任命した尹徳敏(ユン・ドンミン)新駐日大使(62)が16日着任し、東京・羽田空港で日韓の記者団の取材に応じた。尹徳敏氏は、前日に尹大統領から直接、「韓日関係を一番良かった時期に一日も早く戻さなければならない」とのメッセージを託されたと明らかにした。
尹徳敏氏は、関係悪化の要因の一つである、いわゆる徴用工訴訟について「今最も大きな問題は、日本企業の資産現金化の時期が迫っていること」だと指摘。
2015年の慰安婦問題を巡る日韓合意について一部の元慰安婦が受け入れなかったことに触れ、「(韓国内の)官民協議体で被害者と意思疎通し、専門家らと(徴用工問題の)解決策を模索している。容易ではないだろうが、もう少し(議論の)結果を見なければならない」と述べた。
18日には韓国の朴振(パク・チン)外相が来日し、林芳正外相と会談する予定。尹徳敏氏は「現在の国際情勢の中で韓日の協力は重要。難しい問題が山積しているが、1カ国だけでは解決できない」と日本側にも関係改善への対応を求めた。
韓国政府系シンクタンクの国立外交院長を長年務めた尹徳敏氏は、北朝鮮への対応について「北朝鮮が米国を攻撃できる核戦力を持ったとき、米国が自国を犠牲にして日韓を助けられるか。デカップリング(切り離し)の問題が生じる」と指摘。その上で「韓日は同じ立場として、北朝鮮を非核化に導くため協力する必要がある」と強調した。(石川有紀)