デジタル羅針盤

スマート農業で循環型社会の実現を デジタル・コネクト代表取締役・小塚裕史

産経ニュース
小塚裕史氏
小塚裕史氏

日本の農業における課題は生産性向上だといわれる。農林水産省によると、農業就業人口は平成31年時点で168万人であり、10年間で約100万人減少した。65歳以上が70%を占め、高齢化が懸念される。解決方法の一つがテクノロジーの活用だ。ロボット、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などを駆使し、省力化・精密化や高品質生産を実現する取り組みは「スマート農業」と呼ばれる。熟練した農業従事者の経験に依存しなくても、高品質な農作物を生産する手段として期待される。

最近のトマトは甘くなったし、イチゴやメロンなども高糖度になってきた。どうすればおいしくなるかを研究する農業技術と、ビニールハウス内の温度や湿度を自動制御するITが結びついた成果だ。画像診断によって生育状況を観察し、ロボットを使って雑草を処理したり、農作物を傷つけないように収穫したりする研究も進む。自動運転のトラクターで田畑を耕し、農薬散布にドローンを使う。野菜や果物は切って中を確認しなくても糖度を測定できる。

海外では高層のオフィスビルで農作物を栽培する「都市農業」の取り組みも行われている。農作物を獲れた場所から消費地へと運ぶ燃料費や人件費などのコストは「フードマイル」と呼ばれ、距離が遠いほど数値は高くなる。農作物を消費する都市の近くで収穫できればフードマイルを削減でき、ひいては二酸化炭素(CO2)削減につながるというわけだ。農作物の育成に必要な温度管理や水は、オフィスの冷暖房や排水を利用する。オフィスで排出されるCO2は農作物の育成に利用され、農作物の出す酸素はオフィスへと戻される。循環型の仕組みにより、CO2削減と水の効率的利用を促進できる。

おいしい野菜や果物に出合えるのは楽しみだ。環境への負荷が少なく効率的に栽培できるのであれば、さらに素晴らしい。スマート農業の発展が循環型社会の実現に貢献することを期待する。

(デジタル・コネクト代表取締役 小塚裕史)

こづか・ひろし 京大大学院工学科修了。野村総合研究所、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイカレント・コンサルティングなどを経て、平成31年にデジタル・コネクトを設立し、代表取締役に就任。主な著書に『デジタルトランスフォーメーションの実際』(日経BP社)。57歳。兵庫県出身。

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