林芳正外相は12日、仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が国連海洋法条約に基づき南シナ海での中国の主権主張を退ける裁定を示してから6年を迎えたことを受け、「力や威圧による一方的な現状変更の試みへの強い反対を改めて表明する」との談話を発表した。林氏はこれに先立ち、同日、フィリピンのマナロ外相と電話会談し、南シナ海における紛争の平和的解決を求めていくことを確認し、海洋進出を強める中国を牽制(けんせい)した。
仲裁裁判所はフィリピン側の提訴を受け、2016年7月に南シナ海の全域に主権や権益が及ぶとの中国の主張を否定し、南シナ海を覆う中国独自の境界線「九段線」には「法的根拠がない」と結論付けた。
両国は裁定に従う法的義務があるが、中国は裁定を「紙くず」と非難し、受け入れを拒否。領有権を主張するスプラトリー(中国名・南沙)諸島などをめぐり、外国船舶の無害通航権を認めない「内水」を設定する動きをみせるなど領土的野心を強めている。
林氏はマナロ氏との電話会談で、法に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、フィリピンの沿岸警備隊の装備、能力を支援する考えを伝えた。