東電株主代表訴訟、13日判決 原発事故の経営責任は

産経ニュース

平成23年3月の東京電力福島第1原発事故を巡り東電の勝俣恒久元会長(82)ら旧経営陣5人が津波対策を怠ったとして、東電の株主が5人に対し22兆円の損害賠償を東電に支払うよう求めた訴訟の判決が13日、東京地裁で言い渡される。訴訟は24年に起こされ審理回数は62回に及んだ。国内の民事訴訟の賠償請求額としては過去最大とみられ、地裁の判断が注目される。

原告は、事故前から脱原発などを求めてきた約40人の株主。原子力損害賠償法では、原発事故の賠償責任は事業者である電力会社が負うとされるが、「津波対策を先送りした旧経営陣に法的責任がある」と主張する。

当初は歴代経営陣27人を被告としたが、最終的に勝俣氏、武藤栄元副社長(72)、武黒一郎元副社長(76)ら5人に絞った。3氏は検察審査会の議決により業務上過失致死傷罪で強制起訴されたが、1審は無罪。来年1月に控訴審判決が言い渡される。

刑事裁判と同じく、平成14年に政府の地震調査研究推進本部が公表した地震予測「長期評価」の信頼性が争点。長期評価に基づき東電の子会社が20年に試算した、「最大15・7メートルの津波が到来する可能性がある」との報告に対する認識も問われた。

原告側は、勝俣氏ら当時の会長と社長は、資料を基に試算結果の報告を受けていたと指摘。残る3人も、試算結果を基に防潮堤などの設置の必要性を認識したにも関わらず社外機関である土木学会に長期評価の検討を依頼するなどしており、「津波対策を先送りさせた」と訴えた。

被告側は、勝俣氏らは「具体的な津波対策の報告を受けていなかった」と反論。長期評価についても「具体的な津波の水位や浸水範囲が特定されておらず国の機関や専門家からも信頼性に疑問を呈されていた」とし、外部機関に検討を依頼したのは適正だったとした。

訴訟では昨年10月、原発関連訴訟で初めて、裁判官が第1原発の敷地内に足を運んで現地を視察するなど「最も充実した証拠調べ」(原告側代理人)が行われた。

原発関連訴訟では最高裁が今年6月、避難者らによる集団訴訟で長期評価を前提に東電が適切な措置を講じても事故は避けられなかったと認定、国の責任を認めない判決を出した。

これを受けて株主代表訴訟の原告側は、この最高裁判決は「下級審の裁判所に対する拘束力を持つ『判例』にはなり得ない」などとする異例の意見書を東京地裁に提出。原告側代理人の河合弘之弁護士は「被害の実態にきちんと向き合い、正確な事実認定に基づいて正当な法的判断を示していただきたい」としている。(村嶋和樹)

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