作家・西村賢太さんお別れの会 約100人悼む、「迷惑な有言実行者」

産経ニュース
今年2月に急逝した西村賢太さん=平成29年3月
今年2月に急逝した西村賢太さん=平成29年3月

2月に54歳で急死した芥川賞作家の西村賢太さんのお別れの会が11日、東京都内で開かれた。作家や出版・芸能関係者ら100人近くが、多くの読者に愛された無頼作家をしのんだ。

中学卒業後に日雇い仕事などで生計を立てていた西村さんは平成16年、「けがれなき酒のへど」で商業誌デビュー。自らの分身である北町貫多を主人公にしたどこか露悪的でユーモラスな私小説で知られた。

「文学者というよりも文士の系譜に連なる」とその歩みを評したのは、献杯のあいさつに立った作家の島田雅彦さん。「文学者は気取ったり、へ理屈を言ったりするが、文士には無頼の系譜をくむというニュアンスがある。自分の体を張って思考実験を重ね、市民を代表してむちゃをし愚行を重ね、けんかもする。破天荒に生きる、やけっぱちに暮らす、というその生活態度こそが、ふざけた時代にはふさわしいという考え方もある。西村賢太が示した生き方の研究は今後、未来に向かって非常に有効に活用されうる」と悼んだ。

西村さんが『苦役列車』で第144回芥川賞を受けたのは平成23年。同じ回の直木賞を受けた作家、木内昇さんは「物語を読む以上に文章を読むことの喜びを感じさせてくれた。(西村さんが亡くなって)さみしいけれど、かわいそうではない。私が経験した何百倍もこの世を楽しんで、あちらへ行かれたと思う」と遺影に語りかけた。

テレビのバラエティー番組にも数多く出演し、芸能界でも顔が広かった西村さん。「酒を飲むたびに『おれはどうせ50代で死ぬから』と言っていた。賢太先生はそれを実証してしまった本当に迷惑な有言実行者」。そう切り出したお笑い芸人の玉袋筋太郎さんは、2人で酒場で取っ組み合いのけんかをした挿話をユーモア交じりに語り、会場をわかせた。

「西村さんは中卒で、私は高卒で大学受験に失敗しひきこもりになった。どうしても自分と比べてしまう」と話したのは作家の田中慎弥さん。「若くして嫌というほど世の中を味わわなければならなかったから逆に世の中について語らなかったのだと思う。私は冥福を祈りません。成仏しろとは言いません。化けて出るならそれも良し」と締めくくった。

西村さんがファンだったミュージシャン、稲垣潤一さんの曲も流された会場には、未完となった『雨滴は続く』などの自筆原稿や直筆ファクスのコピーも置かれ、訪れた人々が熱心に見入っていた。

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