大相撲名古屋場所初日(10日、ドルフィンズアリーナ)小結阿炎(28)が2場所連続優勝を狙う横綱照ノ富士(30)を送り出しで破った。かど番の2大関は明暗。御嶽海(29)は隆の勝(27)を押し出したが、正代(30)は琴ノ若(24)に押し出された。貴景勝(25)は霧馬山(26)の寄りに屈し、1横綱2大関が敗れる波乱のスタート。若隆景(27)と大栄翔(28)の両関脇も、そろって黒星を喫した。今場所は新型コロナウイルス感染拡大後初めて、観客数に制限を設けず開催される。(観衆=6331)
■土俵際で逆転 2年半ぶりに通常開催に戻った土俵で、いきなり波乱を巻き起こした。観衆のざわめきが収まらない館内で、阿炎は荒い息を吐きながら満足そうにほほ笑んだ。
「無我夢中で相撲を取ったからチャンスが転がってきた。がむしゃらに相撲が取れた」
立ち合いから得意のもろ手突きで前に出ようとしたが逆に、照ノ富士の圧倒的なパワーに土俵際まで追い込まれた。だが、あきらめることなく右腕を振って回り込むと、バランスを崩して背中を向けた横綱を土俵下まで送り出した。