アワビやワカメの「レジャー密漁」急増 うっかりでも刑事罰

産経ニュース
和歌山市加太で密漁されたアワビやサザエなどの貝類(和歌山海保提供)
和歌山市加太で密漁されたアワビやサザエなどの貝類(和歌山海保提供)

新型コロナウイルスの感染拡大がひと段落して海にレジャー客などが戻った影響か、漁業関係者以外の〝素人〟が貝類やワカメなどの貴重な海産物を勝手に採取する「密漁」が目立っている。漁業法改正で罰則が強化された令和2年以降、アワビやナマコを密漁すれば最高3千万円の罰金や懲役刑を科される可能性もあるが、和歌山県内では今年に入って摘発件数が増えている。取り締まる海上保安庁も「レジャー感覚でも犯罪になる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

今年3月20日午後、和歌山海上保安部海南海上保安署(和歌山県海南市)の職員2人が、同県有田市の磯付近をパトロール中、ウエットスーツ姿の2人組の男を発見。ワカメをとる瞬間を一眼レフカメラで撮影し、密漁の証拠として押さえた。

和歌山県有田市で密漁されたワカメ(海南海上保安署提供)
和歌山県有田市で密漁されたワカメ(海南海上保安署提供)

さらに声を掛けると逃げ出そうとしたため、漁業法違反(漁業権侵害)の疑いで現行犯逮捕。男らは当初「とっていない」と容疑を否認したが、近くで網に入った10キロ余りの天然ワカメが見つかった。男らは観念し、「持って帰って食べようと思った」などと話したという。

今年2月28日深夜には、和歌山市加太の海岸で、ライトを照らしてうろつく人影を目撃した人が和歌山海保に通報。駆け付けた職員らが調べたところ、約40キロのワカメと約30キロのヒジキが現場に放置されていた。

加太では昨年6月12日午後にも、60代男性がアワビ7個、サザエ23個などの貝類を密漁したとして、和歌山海保が摘発。密漁した貝類は50個超に上ることが確認された。

罰則強化も減らず

和歌山海保によると、密漁事案にあたる漁業法関係の摘発は令和2年が1件、3年が6件だったが、今年は5月末の段階で、すでに3年の倍近くの摘発件数となっているという。

海上保安庁などによると、密漁の全国の摘発件数はほぼ横ばい状態で、平成29年以降、2千件台で推移。密漁の罰則を強化するため、平成30年12月には漁業法が改正され、令和2年12月に施行された。特にアワビやナマコなどの「特定水産動植物」の密漁を取り締まる条項が新設され、「3年以下の懲役または3千万円以下の罰金」が科されることが定められた。

しかし、施行後も密漁が減る兆しはみえない。

その背景として、和歌山県の場合、京阪神など都市部からの交通アクセスが比較的よいほか、貝類などは引き潮の時間帯、素人でも簡単にとることができる恵まれた自然条件などがある。

さらに全国的にコロナ禍の沈静化で海水浴など海のレジャーが復活する傾向にあり、それが密漁を誘発しているとみられる。

和歌山市加太に設置された密漁防止の啓発看板(藤崎真生撮影)

加太では、以前から観光客や釣り客などに向けて、「採取した場合は法律により罰せられます」とする啓発看板を岸壁などに設置しているが、密漁は後を絶たない。加太漁協の西垣一男参事は「(密漁を防ぐために)監視員を配置したくても、人手も費用もない。看板を設置して注意を促すしかない」と対策に頭を抱える。

「漁協に確認を」

「自分で食べるだけなら…。レジャー感覚でも『密漁』に⁉~漁業権侵害の罪などの罰則が強化されています~」

和歌山海保は今年5月、こんな文言で密漁防止を呼びかける資料を発表した。

和歌山海保によると、横行する密漁は、地域の漁業活動や水産資源にも大きな影響を与えかねない。アワビやナマコといった高級食材は、暴力団など反社会的勢力の資金源として悪用される可能性もあり、厳しい取り締まりに乗り出している。

和歌山海保の塩見慶史・警備救難課長は「『知りませんでした』では通らない。密漁をすれば、想像以上に重い罪に問われることもある」と警告する。

和歌山県の担当者も「自分で判断して持ち帰ったり食べたりせず、本当にとっていいものかどうか、まずは地元漁協に確認するのが確実です」と呼びかけている。(藤崎真生)

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