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夏バテに福井の田舎そば 「御清水庵 清恵」(東京・日本橋)

産経ニュース
「御清水庵 清恵」のおろしそば。大根の辛みを効かせたつゆを「ぶっかけ」ていただくのが流儀だ(寺河内美奈撮影)
「御清水庵 清恵」のおろしそば。大根の辛みを効かせたつゆを「ぶっかけ」ていただくのが流儀だ(寺河内美奈撮影)

厳しい暑さとまとわりつくような湿気で食欲も減退しがち。こんな時期には、大根の辛みを効かせたつゆで、歯応えのあるそばをさらり…。福井県の名物「越前おろしそば」をたずねて、東京・日本橋へ。「一度食べたらやみつきになる」という、福井出身の店主がこだわる〝田舎そば〟を味わった。

(末崎慎太郎)

日本橋のたもと、日本橋三越本店の目と鼻の先にあるのが、越前おろしそばの「御清水庵 清恵(おしょうずあん きよえ)」。都内で数少ない本格的なおろしそばを提供している。

越前和紙を飾った額や竹細工の置物など、福井ゆかりの調度品に彩られた店内。しょうゆ差しや器も越前焼でそろえられている。

「もちもちとした歯応えが特徴」

そう語るのは、福井出身の店主、中本好美さん(73)。

越前塗のそば皿に盛られた、どこか武骨なたたずまいのそば。かつお節と刻んだネギをのせて、まろやかな地元のしょうゆでこしらえたそばつゆを大根のしぼり汁で割って、「ぶっかけ」てから食べるのが地元流だ。

口に運んだ途端、ピリッと舌を刺激する大根の味。それが過ぎ去ると、噛(か)むたびにそばの風味が広がっていく。

「江戸前の白くて細い更科そばのように、すすって香りや風味を味わうのとは違って、越前のそばは嚙んでそばの味や香りを楽しむものなんです」と中本さんが教えてくれた。

店では福井県の北部、坂井平野で採れる在来種のそばにこだわっている。小粒で実が詰まっていて、濃厚な味と香りがあるのが特徴だという。そば粉10に対し、つなぎの強力粉を2。「外二」と呼ばれる配分によって、そばそのものの純粋な味わいと、歯切れのよさが際立つ。「シンプルにそばを味わってもらいたい」と話す。

おろしそばに欠かせないのは大根の風味だ。同店では大根のしぼり汁でそばつゆを割るが、大根おろしをそのままそばの上にのせる食べ方もある。大根には消化を助けるジアスターゼやビタミンCなどが含まれ、特に夏場の大根は辛みも強く、さっぱりとした口当たりに食が進む。

おろしそばは春ごろから暑さが収まる秋口にかけてが人気だという。中本さんも「夏バテにも効く」と太鼓判を押す。

福井の名産品があしらわれた店内。窓の外には日本橋の運河の水面が見える =東京・日本橋(寺河内美奈撮影)

「福井がそばどころとして知られるようになったのは、ここ15年ほど」というが、おろしそばの歴史は古く、約400年前の江戸時代にさかのぼる。

そば師を伴って越前府中に赴いた本多富正が、そばの栽培を奨励。城下の医師からの意見なども取り入れて、大根おろしの汁で食べる「おろしそば」が生まれたとされ、その後広がっていったという。

そんなおろしそばが「越前おろしそば」との名で広く知られるようになったのは、昭和22年に福井県武生(たけふ)市(現在の越前市)を訪問した昭和天皇が、帰京後も「あの越前のそば…」と懐かしんだことに由来する、とのエピソードもある。

中本さんは「おろしそばは福井の田舎そば。庶民的な味を楽しんでもらいたい」とほほえむ。

東京都心では観測史上最長を更新する9日連続の猛暑日が続くなど、ちょっと異例な、この夏。一味違う冷たい田舎そばを手繰って、涼を感じてみてはいかがだろう。

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