「牛にやさしい」長門牧場とアルピコグループがタッグ 商品や野外レジャーなど共同開発へ

産経ニュース
自らの意思で搾乳ロボット(奥の青い部屋)が空くのを待つ牛たち=長野県長和町の長門牧場(原田成樹撮影)
自らの意思で搾乳ロボット(奥の青い部屋)が空くのを待つ牛たち=長野県長和町の長門牧場(原田成樹撮影)

長野県長和町が出資する第三セクターの酪農場「長門牧場」(長和町)と交通、観光業などを手掛けるアルピコグループが包括連携協定を締結した。乳製品の販路拡大を目指す長門牧場と、新たな観光資源を求めていたアルピコ側の思惑が一致。両者とも新型コロナウイルス禍による観光客の激減などで経営が打撃を受けてきたが、提携によってコロナからの回復軌道に乗せたい考えだ。

放牧されている若い牛たち=長野県長和町の長門牧場(原田成樹撮影)
放牧されている若い牛たち=長野県長和町の長門牧場(原田成樹撮影)

別荘地で乳製品販売

長門牧場は、蓼科山北側に広がる白樺高原の標高1400メートルに東京ドーム約45個分(211ヘクタール)の牧草地を有し、搾りたての牛乳を使ったアイスクリームやチーズなどの乳製品を製造し販売している。美ケ原高原や浅間連峰などの山並みと肩を並べる高原に県外からも観光客が多く訪れる。

一方、アルピコ側で提携したのは、アルピコホールディングス(HD)子会社で別荘地管理などを行うアルピコリゾート&ライフ(茅野市)だが、同HDの曲渕文昭会長は提携をグループが「観光分野で反転攻勢をかける第1弾」と位置付ける。早速、リゾート&ライフが管理する蓼科の別荘地へ長門牧場の商品配送を始めただけでなく、グループ内のホテルに長門牧場の商品コーナーを設置した。今後、スーパー「デリシア」とプライベートブランド商品を共同開発し、星空観察会や夜間の滞在など野外レジャーの開発も進めて長門牧場への観光客の誘客も図る。

搾乳ロボットに行列

長門牧場は、昭和39年に整備がスタートした酪農場。牛の一部は野外に放牧されているがこれらは育成中の若い牛で、ほとんどの牛は至れり尽くせりの牛舎の中で過ごす。

「牛がきれいでしょう」。牛舎に入ると、長門牧場の竹内邦義社長は胸を張った。一般の農場では、作業する人のスケジュールに合わせて、朝と晩など決まった時間に搾乳を行うが、長門牧場では、餌やりから搾乳、糞の掃除までロボットが行っている。4年前に導入した最新鋭の設備だ。

清潔さの向上や省力化だけが狙いではない。1頭ごとの仕切りがないため牛は場内を自由に歩くことができ、自ら搾乳してほしくなると、24時間稼働の搾乳ロボットに1日5、6回ほど出向く。見学した際は、順番待ちの牛の行列もみられた。照明も牛にちょうどいいとされる明るさに保たれ、かゆいところを当てると掻いてくれる回転ブラシも備えられている。まさに牛の気持ちやペースに合わせた施設だ。

ヨーグルトやチーズなどの販売コーナー。一番上の生乳「ここだけの牛乳」は夕方には売り切れていた=長野県長和町の長門牧場(原田成樹撮影)

動物の福祉

人よりも牛に寄り添う飼育は、アニマルウェルフェア(動物の福祉)の観点から消費者に強く訴求する。曲渕会長らアルピコ側の関係者もそれがブランド価値に与える潜在力を強く感じ取っている。来年にも有料のサポーター制度を創設する予定だ。会員に高頻度に牧場に訪れてもらい、環境の良さや飼育の理念を知ってもらう取り組みだ。

現在は牧場で直販する一部を除き、生乳のほとんどは業者に卸している。竹内社長は、販路が拡大すれば、手塩にかけた生乳を自社ブランドを付けて販売できるかもしれないと期待する。

やさしく牛を飼う絶景の高原牧場がいつまでもあり続けるために、その商品を愛飲し、休みの日は牛に会いに出かけ、時には厳しい意見も言う。近い将来、〝推し〟の牧場を持つというライフスタイルを実践する人が増えるかもしれない。(原田成樹)

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