AED使用も救命かなわず 安倍氏銃撃

産経ニュース
奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説する自民党の安倍元首相。この直後に銃撃された=8日午前11時半ごろ
奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説する自民党の安倍元首相。この直後に銃撃された=8日午前11時半ごろ

自動体外式除細動器(AED)が作動しない-。これは目の前の命が危ういことを示していた。安倍晋三元首相(67)が奈良市で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、直後に現場に駆け付けた医師が取材に応じ、救命措置の一部始終を明かした。

「安倍さんが撃たれた」。現場となった近鉄大和西大寺駅近くにあるクリニックの中岡伸悟院長(64)は事件直後、患者の家族から知らせを受けた。にわかには信じがたい。それでもクリニックを離れて看護師と現場に駆け付けた。

悲鳴と怒号が交錯する中、あおむけにぐったりと倒れる安倍氏。白いシャツには血が付着していた。それほど出血が多くないようにも思えたが、撃たれたのなら傷が深いことは間違いない。安倍氏に近づくと、すぐに異変に気が付いた。

「顔面蒼白(そうはく)で、まぶたの裏も真っ白。貧血状態だったのはすぐに分かった」。背中側の路面に血だまりができていたことを後に知った。

心臓に血液を供給するため関係者が安倍氏の足を持ち上げ、中岡院長と看護師らが心臓マッサージを行った。だが、呼吸は止まり、脈動も確認できない。「一刻も早く救急車を」。そう願いながらAEDを手に取った。

しかし、故障もしておらず、正しい手順を踏んでいるはずのAEDが動かない。AEDは、けいれん状態の心臓を正常に動かすための装置で、完全に心停止した場合は作動しない。今回もそのケースだった。

救急隊に引き継ぎ現場を離れたが、その後、安倍氏の死亡を知った。深刻な容体を目の当たりにしていただけに、驚きはなかったが、無念さは募る。「現場でやれることは限られていた」と唇をかんだ。


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