安倍晋三元首相が銃撃された8日、安倍氏が長らく関わっている北朝鮮拉致問題の被害者家族らにも動揺が広がった。
拉致被害者の横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(86)は「信じられない。この国はいったいどうなってしまうのか」と戸惑いをあらわに。「無事を祈っている」と声を震わせた。
増元るみ子さん(68)=同(24)=の弟、照明さん(66)は「米国との関係を深め、北朝鮮に拉致問題の存在を明確に意識させた。拉致問題に長らく思いを寄せてきた、まれな政治家だ」と安倍氏の政治手腕を評価し、「回復を切に祈る」と話した。
安倍氏は今年3月、家族会前代表で田口八重子さん(66)=同(22)=の兄、飯塚繁雄さん=享年83=のお別れの会にメッセージを寄せた。
「当時は関心度も低く、ご家族は長い間、孤独で痛切な闘いを強いられてきた。これは政府、国の責任」とし、「総理大臣として拉致問題を解決できなかったことは痛恨の極みであり一番の心残り。同時に私は、決して諦めていない」と解決への決意を述べていた。