安倍晋三元首相が8日、奈良市内の路上で不審な男に背後から襲われたことについて、ロイター通信が同日午前、NHKの報道を引用する形で「安倍元首相が選挙演説中に血を流して倒れた」「胸を撃たれた」と逐一、速報するなど、海外メディアも報じた。
米ブルームバーグ通信は同様に、男の身柄が確保されたと伝えた。
中国メディアも8日、安倍氏が奈良県で襲われた事件について一斉に報じた。
中国国営新華社通信は、日本メディアの報道を引用する形で「奈良で演説中の安倍元首相が胸を撃たれて倒れ、病院へ運ばれた」と速報した。安倍氏の状態や襲撃時の状況などを詳細に報道している。
中国で安倍氏の名前は広く知られており、事件についても関心が高いとみられる。
ロシアでは、タス通信が日本特派員からの報告として、安倍氏に対する暗殺未遂事件が起きたと報道。安倍氏が心肺停止状態にあるとも伝えた。インタファクス通信や国営ロシア通信も、日本メディアの報道を引用しつつ事件を報じた。
ロシアでは、安倍氏は日露関係の発展を追求した政治家だとする見方が強い。ウクライナ侵攻を巡り対露制裁を発動した日本の政府関係者らを対象とした露政府の報復制裁でも、安倍氏は対象となっていない。
ウクライナの国営通信社ウクルインフォルムも事件について、アジア担当の特派員からの速報を伝えた。
欧州でも関心が高く、英BBC放送がニュース番組で速報したほか、ドイツ紙のフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)がウェブサイトのトップ記事で銃撃事件を伝えた。
同紙電子版の記事は、安倍氏が奈良市で行われた参院選の選挙応援活動中に撃たれ、目撃者の話として2発の銃声が聞こえたことなどを報じた。
また、NHKの報道などを引用する形で自民党筋から、安倍氏が意識を失っており、危険な状況にあるとの情報が出ていることや松野博一官房長官が安倍氏の健康状態は不明であると述べたことも報じた。
記事は、安倍政権が日本の憲政史上最長の政権となったことにも触れ、「自民党の最重要派閥のトップとして、首相退任後も日本の政治に大きな影響力を持ち続け、在任中は、アベノミクスという積極的な拡大経済政策で国際的に知られた」と伝えた。