1970~80年代の音楽シーンで、アイドルの売り出しにはドラマ出演や主題歌、さらにはCMでのタイアップがプロモーションの要だった。長老の芸能関係者は「新人アイドルの場合、所属する大手プロダクションがどこのレコード会社と組むかで注目度が決まった」と前置きした上で当時の芸能界について、こう語った。
「結局はどれだけ宣伝費を投資できるかということです。82年組のアイドルの場合、ビクター音楽産業(現JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)が小泉今日子、CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)が三田寛子、キャニオンレコード(現ポニー・キャニオン)が堀ちえみ、RCA(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)が石川秀美、新興ながらもテレサ・テンさんや渡哲也さんが所属していたトーラスレコード(現ユニバーサルミュージック)からは早見優がデビューしました。そんな中、中森明菜は知名度も実績もない芸能プロがアイドルを手がけるのは初めてというレコード会社と組んだのですから、正直相手にするメディアは『スター誕生!』の日本テレビを除いては、テレビ東京の『ヤンヤン歌うスタジオ』くらいでしたよ」
さらにこう続ける。