スポーツ茶論

〝たたき上げ〟理事の情熱 橋本謙太郎

産経ニュース
土田雅人氏=秩父宮ラグビー場(代表撮影)
土田雅人氏=秩父宮ラグビー場(代表撮影)

日本ラグビー協会の新会長に、サントリー(現東京SG)の監督として日本選手権を3度制した実績があり、サントリーホールディングス常務執行役員を務める土田雅人さんが就任した。

日本ラグビー協会をめぐってはこの数年間、専務理事と男子7人制日本代表ヘッドコーチの兼務、今年始まった新リーグ「リーグワン」のディビジョン分けについての審査委員会の最終報告と日本協会の最終決定の食い違い発生といった奇異な動きが目立った。

実業界でも活躍する土田会長には、そんな協会を透明性のある常識的な組織に再生させることが求められるが、新会長だけでなく、新任理事の中にも、大いに期待したくなる人の名前があった。日本ラグビー協会職員の香川あかねさんだ。香川さんは「本当に日々すごい熱量と思いで働いている職員がたくさんいる。今回、職員として理事に指名していただいたことは大きな意味があると思います」と力を込める。

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現在は休職してダブリンに留学中の香川さんだが、日本協会内で、あるいは練習会場で、たびたび姿を見かけた。

ラグビー好きの父の影響で幼少時からスタジアムに足を運んだという。大学卒業後、一度はほかの会社に就職したが、「単純にラグビーが大好きだった」ことから、ホームページで日本協会が職員を募集しているのを見つけると応募し、採用された。以来、約20年にわたり、経理、普及、国際担当などさまざまな部門で経験を重ね、2016年リオデジャネイロ五輪と昨年の東京五輪では女子7人制の総務としてチームを支えた。選手や指導者としての経験はなくても、協会の内情をよく知る一人だ。

ラグビーへの思いは強く、ダブリン留学の理由は、MBA(経営学修士)を取得するため。「ラグビーを発展させていくために、もっといろいろな角度からラグビーを見られるようになりたかった。もっとビジネス的な視点を持っていかないと、広がりを持てるようにはなれないと思いました」と心強い。

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アマチュアスポーツ界は長らく、フルタイムの有給職員の上にボランティアの役員が立って運営される形態が珍しくなかった。日本オリンピック委員会(JOC)が役員を有給にしたのは03年度。スポーツの商業化が進んだことで〝手弁当〟では対応が難しくなり、責任の明確化を図る必要性も生じたための措置だった。

日本ラグビー協会も06年度から有給役員制を導入し、仕事として職務に当たる理事も出てきた。それでも同協会によると、通常の事務職として採用された職員が理事に就いたのは香川さんが初という。土田会長は「世界で対等に(仕事が)できる協会になること」を課題の一つに挙げたが、現場を支える職員に新たなキャリアアップの道が開ければ、モラルや士気向上にもつながるのは間違いない。

そういった面からも香川さんの動向は注目を集めることになりそうだが、「現場の意見や考えをうまく理事会で伝えたり、理事の方の意見も現場に伝えて、うまく循環していくようにするのも一つの役割と思っています」と香川さん。真正面から自身の立ち位置を見据える。

ダブリンからは9月に帰国予定。まさか「話が長い」などと煙たがる人はいまい。「ラグビーが世界一身近にある国」の実現に向け、〝たたき上げ〟の理事が新風を吹き込む舞台は整った。

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