主張

参院選と物価高 対症療法で不安拭えるか 財源なき消費減税は無責任だ

産経ニュース

食料品や電気料金、ガソリン代などの値上がりが暮らしを揺さぶる中で、物価高対策が参院選の大きな争点になっている。

長期デフレで「安さ」が当たり前だった有権者にとって、賃金が伸びない状況での価格高騰は深刻だ。消費が冷え込めば、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済の回復もさらに遠のくだろう。

このため各党は生活者支援や値上げの抑制、賃上げ促進などを競って打ち出した。総じて減税や補助金などの大盤振る舞いだ。

だが、こうした対症療法で事態は改善するのか。何よりも、物価高に揺るがぬ力強い経済を実現できるのか。その実効性を厳しく見極めなくてはならない。

「年金3割減」の根拠を

現在の物価高は、世界的な需要拡大やロシアによるウクライナ侵略に伴うエネルギー・食料不足などに起因する。これに円安が重なり、輸入物価高騰を助長した。

立憲民主党などは「岸田インフレ」などと断じて岸田文雄政権への批判を強めている。対して自民党は、物価上昇が米国など他の主要国の4分の1程度に抑制されているなどと反論する。

確かに日本の物価高は、歴史的なインフレに直面する欧米ほど深刻ではない。それでも生活必需品の急激な値上がりは、困窮世帯ほど負担感を増大させている。

与野党が追求すべきは、所得水準や家族構成などに応じたきめ細かな支援策だ。政策効果が不透明なバラマキではなく、本当に困っている世帯に必要な支援を届けて不安を解消できるかである。

生活者支援の観点で、与野党の主張が明確に異なるのは消費税の扱いだ。野党はこぞって減税や撤廃を公約にしており、立民や国民民主党は5%への時限的な減税、日本維新の会は食料品などに適用される軽減税率の8%から3%への引き下げを訴える。与党側は、岸田首相が「減税は考えていない」と明言するなど消費税の減税には否定的だ。

消費税を減税すれば国民負担が一時的に軽減される。だが、所得水準が異なる世帯を一律で支援することにどれほど合理性があるのか。消費税は、税収を社会保障財源に充てるよう目的税化されている。一時的でも減税・廃止するなら代替財源の確保が必要だ。それを明示しないままでは責任政党といえまい。

消費税をめぐる論戦では、自民の茂木敏充幹事長が「消費税を減税すると、年金を3割カットしなければならない」と発言したことも波紋を呼んだ。年金を3割カットする具体的な根拠を示さないのは無責任である。野党側が茂木氏の発言を「恫喝(どうかつ)だ」と批判するのも仕方あるまい。

消費税は有権者の関心が高いテーマだ。与野党の活発な論戦を望むが、それは建設的でなければならない。与野党とも具体的な根拠を明示せず、非難の応酬に終始するのは看過できない。

賃上げの道筋具体的に

一方、岸田政権が重視するのは、物価高の大きな要因であるエネルギーと食料品の価格高騰対策だ。政府は電気料金の負担軽減を図る節電ポイント制の導入などを打ち出した。自民はガソリン価格の抑制に向けた補助金の拡充も掲げている。

すでにこの補助金でガソリン価格(全国平均)は1リットル当たり40円前後が引き下げられており、価格高騰を緩和する一定の効果は見込める。ただし、政府が税金で市場に介入する政策は持続的とはいえない。それよりは価格高騰に対応できる事業者の構造転換を促す方策を明確に示してほしい。

物価高対応では継続的な賃上げも不可欠だ。自民が「25年ぶりの本格的な賃金増時代」を訴え、立民も時給1500円への最低賃金の段階的引き上げを目標とするなど各党とも重視する姿勢だ。

長年、改善できなかったのが賃金水準の向上である。経済の潜在成長力や労働生産性を高め、賃上げや投資を促す具体的な方策を示さなければ、各党の主張も説得力を持たないと認識すべきだ。

与野党が補助金や減税を唱える一方で、財政健全化の道筋を示していないのも残念だ。立民は所得税の累進課税の強化を打ち出したが、具体像はみえない。コロナ対策の財政出動で膨らんだ負債をどう返済するか。すべてを国債に依存し、将来世代につけ回しするような姿勢は許されない。

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