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水族館で学ぶ 命の不思議

産経ニュース

眼前に広がる青い水槽。悠々と泳ぐサメやマンボウ。独特の姿を持つ深海魚。普段目にしない、たくさんの生き物に触れられるのが水族館の魅力だ。そこで働く人たちの思いや命の不思議さを伝える本が相次いで出版された。いずれも夏休みの自由研究のヒントになりそうだ。

潤んだような目に、愛らしいしぐさ。水族館の人気者といえばアザラシ。その日本唯一の保護施設「オホーツクとっかりセンター」(北海道紋別市)で働く飼育員の奮闘を描いたエッセーが、『寝ても覚めてもアザラシ救助隊』(岡崎雅子著、実業之日本社・1650円)だ。

著者が小学生の時に〝アザラシ愛〟に目覚めて獣医師となったいきさつや、センターで働いた10年の日々がつづられている。北海道のオホーツク沿岸では流氷の時期にアザラシが姿を現し、衰弱して発見される個体もいる。センターに保護要請があれば、飼育員が現場へ救助・保護に向かう。エサの魚をえり好みする個体がいれば、飼育方法を工夫する。

本書には、保護した個体の野生復帰やアザラシによる漁業被害に関する考え方、流氷の減少と環境問題など、考えさせられるテーマも優しい語り口で盛り込まれている。アザラシの生態を知るうちに、自然保護や種の多様性といった言葉が、遠くの世界のことではなくなる。

ジンベエザメで人気の観光スポット「沖縄美ら海水族館」(沖縄県本部町)。その研究施設としての側面に光を当てたのは、『沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか?』(佐藤圭一、冨田武照、松本瑠偉著、産業編集センター・1980円)だ。

美ら海水族館は、実はサメの研究で世界的に有名な施設であり、海外からも著名な研究者が訪れる。本書では、3人のサメ博士の日常が研究活動を中心に紹介される。イタチザメの出産の一報を受け、カメラを片手に水槽に向かったり。海外の研究者と協力し、南米ガラパゴス諸島でジンベエザメの調査をしたり。目の前で起こっている事象から、疑問や不思議を感じ取る能力のある人たちなのだ。

謎の多いメガマウスザメの食事風景や、人工子宮によるサメの誕生場面など、紹介される研究は、好奇心をくすぐるものばかり。著者の一人は「我々の研究は〝役に立たない〟し、お金になるものでもない」と言うが、その驚きに満ちた発見やユニークな研究は私たちの意識を変えるきっかけになる。

アカメとすごしたグレ坊』(桂浜水族館/スタッフ・ひな著、光文社・1980円)は、水族館で実際に起こった不思議を描いた絵本だ。

舞台は、坂本龍馬像で有名な景勝地・桂浜に古くからある「桂浜水族館」(高知市)。日本三大怪魚の一つ、アカメの水槽に生き餌としてグレ(メジナ)を入れたところ、なぜか1匹だけ生き残り、アカメと共存したという実話をもとにした。生き残った「グレ坊」の視点から、アカメと一緒の水槽で育った日々が語られる。

生きることは、尊い命を食べること。水槽だけでなく川や海でも、毎日の食卓でも、命のやり取りが行われている。親子で命や食について考えるのに、ぴったりの絵本だ。

子供の自由研究を水族館が応援する活動は、各地で行われている。この夏、近くの水族館を訪ねてみては。(油原聡子)

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