トラは、春先から夏にかけて毛が生え変わり、多くの毛が抜け落ちます。このとき、大きな舌でペロペロと体をなめて身繕いをしますが、なめ取った毛をそのまま飲み込んでしまいます。
毛は消化しにくく、胃や腸などにたまってしまい、それが原因で体調を崩すこともあるのでとても危険です。それを予防するためにトラたちは自ら消化しにくい草を食べ、胃にたまった毛を草と一緒に吐き戻すという半ば強制的な方法をとります。また腸に入った草は、毛を押し出すようにフンと一緒に排泄(はいせつ)されます。
肉食のトラですが、この時期は特に草を喜んで食べ、なかでも細長いイネ科の草が都合がいいようで好んでいます。しかし、展示場に草を植えても、少し生えてきたところでトラが食べているのか、なかなか生えません。そんなわけで、展示場の隣にトラ用の草畑をつくり草を育てています。
この場所での収穫は今季が初めてですが、順調に育っていて、毎日そこから採れたてを与えることができ、トラたちの体調ケアに役立っています。(トラ担当 笹井恵)