東京都が自転車政策を加速 利用増加で際立つ「歩道通行」の弊害

SankeiBiz

自転車事故の多くが歩道通行に起因

しかし、そんな状況がいつまでも許されないことをデータが示している。警察庁の「交通統計・交通事故発生状況」によると、東京都内の自転車関与事故件数は減少しているものの、事故全体に占める自転車関与率は増加の一途を辿っている。しかも自転車が関与した事故のうち、自転車側の違反率は年々増加し、直近の2021年は6割を超える結果となった。

小林氏によると、その多くが「出会い頭の事故」だという。車道を走る自転車はクルマから視認しやすいため、出会い頭の事故は比較的起こりにくいが、歩道を走る自転車は認識されにくく、交差点などで左折してくるクルマと接触するリスクが高まる。もちろん対クルマだけでなく、対歩行者でも曲がり角で同様の事故が起きる。そのリスクの高さを裏づけるように、自転車事故全体に占める交差点での事故の割合は欧州各国の平均が4割程度であるのに対し、日本はおよそ8割と2倍に達している。皮肉なことに、車道より「安全」と思い込んで通行している歩道が事故を誘発する温床となっているのだ。

そんな走りにくい環境でありながら、全交通手段に占める自転車の利用率は大阪で約24%、東京で約14%。世界一の自転車都市といわれているコペンハーゲン(デンマーク)の約30%、ロッテルダム(オランダ)の約20%と比較しても同等、あるいは高い水準にある。昨今の社会情勢を踏まえると、この数字はさらに増える可能性があると見る向きもあり、現に東京都の調査では通勤・通学時間帯の自転車交通量がコロナ禍前後で2割ほど増加したことが報告されている。

レガシーイベントを自転車政策の象徴に

こうした事態を受け、東京都はギアを一段上げるようにこれまでの計画を改定した。交通事安全上の必要性だけでなく、感染対策や、世界的な動きとなっている自動車依存度の低減などの計画と関連付け、今後10年間にわたって自転車の活用推進を加速させる方針を示した。

改定で新たに打ち出したのが「自転車活用推進重点地区」の設定だ。「業務・商業地」(新宿)、「住宅地」(吉祥寺)、「観光地」(豊洲)の各特性をもつエリアをモデル地区として定め、通行空間の整備や路上駐車対策の強化、自転車シェアリング、駐輪問題などについて重点的に対策を検討・実施。対策をパッケージ化して同様の特性をもつエリアに展開する計画を掲げた。

さらに昨年5月に都の建設局が発表した「東京都自転車通行空間整備推進計画」では、自転車交通量や事故の発生状況、既存の自転車レーンの連続性などを考慮し、2030年までに新たに約600キロに延長、2040年代には1800キロの自転車通行空間の整備を目指す方針を明示した。

11月23日、東京の臨海部を中心に3000人規模で開催するレガシーイベントは、こうした自転車政策に本腰を入れる上で世論形成に向けたシンボリックなイベントとする狙いもある。同イベントの発案者の1人である東京都議会議員の白戸太朗氏は、「自転車道を整備するにも都民にその必要性を感じてもらうことが重要。いかに自転車利用の機運を高められるかが、この先の自転車政策を進めるためのベースになる」と強調する。

小林氏もレガシーイベントの開催を歓迎する一方で、「参加して終わりではなく、イベントを通じて各参加者が自転車の通行空間について何かを感じることに本当の意義がある」との見方を提示。「可能な人はイベント会場までぜひ自転車でアクセスして、どうすれば東京の街が走りやすくなるかを考えながら走ってみてほしい」と話している。

  1. 中露〝蜜月崩壊〟習主席がプーチン氏見捨てた!? 「ロシアの敗北は時間の問題」中国元大使が発言 インドの浮上で変わる世界の勢力図

  2. 名脇役の斎藤洋介さんが死去 69歳、人知れずがんで闘病

  3. ロシア大敗、反攻猛進撃のワケ ウクライナが東部要衝奪還、東京なら1・4倍の広さ 「プーチン大統領は四面楚歌状態」渡部氏

  4. 【許さない 未解決事件のいま】(3)ポツンと一軒家の惨劇 私的懸賞で解決願う長男 茨城高齢夫婦殺害

  5. 中村玉緒の息子・鴈龍さん、孤独死していた…55歳