仕事の「最終回」をどうするか? 「辞め時」を考える

SankeiBiz

「辞める」は別に、必ずしも組織を辞めるということに限らない。会社員には異動がある。人事異動で、いま、取り組んでいる仕事が数週間で終了になることもある。勤務地が変わることすらある。当たり前の仕事をする日々とのお別れは突然やってくる。会社員時代、「そうか、この仕事はいったん終了なんだ」と切なくなったことは一度や二度ではない。

(Getty Images)※画像はイメージです
(Getty Images)※画像はイメージです

もっとも「辞める」をめぐるルールも変化している。定年退職に関するルールは明確に変化した。人生100年時代が叫ばれ、一生働き続け、学び続ける社会がもう現実のものとなっている。これは「辞められない」社会と言えなくもない。

「辞められない」といえば、自由な働き方をしている人、起業してしまった人たちのことが気になっている。一見すると、いかにも既存の枠組みを壊して活躍しているかのように見えるが、ずっと自由であり続けなくてはならない、企業を守らなくてはならないという呪縛に実は苦しんでいないか。

究極の「辞める」は「死」だ。このコラムの入稿直前に、コラムニストの巨匠である小田嶋隆さんが亡くなってしまった。まだ公表されていない原稿があるのかもしれないが、これから起こる社会問題について、彼の声はもう聞けない。対談、イベント、ラジオなどで何度かご一緒させて頂き、圧倒された。この連載で、彼が唸るようなコラムを書けたら、彼に一歩でも近づくことができたらと考えていたが、結局届かなかった。

そうそう、今どきの「辞める」につきものなのが、退職ポエムだ。そういえば、小田嶋さんはサッカー元日本代表・中田英寿選手引退のときのブログ投稿を、ポエムだと呼んでいた。

昨年、「退職のご挨拶展」なるイベントが開催された。私がリクルートを辞める際のメールも展示された。SNSなどに香ばしい投稿をする人もたまに見かける。

そういえば、退職のご挨拶で「我が生涯に一片の悔い無し!」と『北斗の拳』のラオウのように叫び、若い人が理解できず、シーンとなってしまったあの人は、いま、どうしているだろうか。辞めるからと言って、何を言ってもいいわけではない。

私の連載はこうして終了するのだが、自分では「終わろう」という気にはなれなかったので、終わることができたことをむしろラッキーだと捉えたい。私の新章が始まる。連載は終わっても、私と皆さんの働き方ラボは続くのだ。なんと、ウェブ連載で続いているものは、これだけだったのだが。これからも、どこかで書き続ける。また会おう。

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