国が生活保護費を引き下げたのは生存権を保障する憲法に違反するとして、東京都内の受給者ら約30人が都内12区6市に対する減額処分の取り消しと国への慰謝料を求めた訴訟の判決で、東京地裁(清水知恵子裁判長)は24日、処分を取り消した。同種訴訟は29都道府県で起こされ11件目の判決。取り消しは大阪地裁、熊本地裁に続き3例目になった。
訴状によると、厚生労働省は平成25年8月からの3年間で基準額を平均6・5%引き下げ、計約670億円を削減した。①生活保護基準額の水準と消費実態の乖離(かいり)の解消(ゆがみ調整)②物価動向を踏まえた減額(デフレ調整)―に基づいていた。デフレ調整では、厚労省が独自に算定した指数が初めて使われた。
原告側はデフレ調整について生活保護受給世帯の消費実態を考慮していないと主張し、特異な物価上昇があった20年を起点に下落率を算定した点も問題視。ゆがみ調整の算定方法も不合理だと訴えていた。