歌舞伎俳優の中村芝翫=しかん(56)と長男の橋之助(26)、次男の福之助(24)、三男の歌之助(20)が共演する「松竹歌舞伎舞踊公演」が、30日の東京を皮切りに全国で24公演行われる。親子4人そろっての共演は平成28年の襲名披露公演以来となる。
都内で5月下旬、取材会が開かれた。芝翫は「息子の肉体的、精神的成長、また芸の上での成長を見て、芝翫を襲名して以来の年月が思い出されるのではないか」としみじみ語った。
本公演の演目は「操り三番叟(さんばそう)」と「連獅子」の舞踊2題。「『操り三番叟』は五穀豊穣を願う演目。今回は疫病退散ということで、はやり病が少しでもこの公演を通して退散して、みんなに元気を与えられるよう、親子そろって勤めさせていただく」(芝翫)と意気込む。
橋之助は「父の戦力になることが僕の一番の目標だった。父が座頭の公演で、弟2人と3人で戦力になれる第一歩の公演だと思うので、心して勤めたい」と熱く語った。
福之助は「襲名披露の巡業以来、たくさんの先輩方のところで、いろいろなお役をさせていただいたので、どれだけ成長しているのか、ぜひ期待して見に来ていただけたら」と力を込めた。
襲名の際、親子4人で「連獅子」を披露した芝翫は、今回、巡業初参加となる歌之助と2人で「連獅子」を演じる。「歌之助の成長を、舞台の上で切磋琢磨(せっさたくま)しながら見られるのも楽しいことだと思う」(芝翫)。これを受け、歌之助は「親子の姿とか、襲名の時とは違った連獅子をお見せできたら」と抱負を述べた。
7月31日まで。(水沼啓子)