参院選が22日に公示され、神奈川選挙区(改選数4非改選欠員1)には現職2人、元職2人、新人18人の計22人が立候補し、7月10日の投開票に向けて18日間にわたる舌戦が始まった。自民、立憲民主、公明、維新、共産、国民民主、社民、NHK党などが候補者を擁立する激戦区で、同選挙区で最も候補者が多かった昭和58年、平成10年の15人を上回り、過去最多。候補者2人を立てた自民、立民の動向が焦点となる。県選挙管理委員会で届け出を済ませた各候補者は早速、街に出て第一声(届け出順)。安全保障や、物価高騰への経済対策などを訴えた。
立民新人の寺崎雄介氏(50)は午後3時半ごろ、桜木町駅前広場で第一声。21年間地方議員として活動し、「地域の声に耳を傾けてきた」ことから、医療・貧困対策や子育てといった福祉分野などで7つの提言と50の政策を掲げる。
医療への確実なアクセスや、子育て・教育費の負担軽減、また生活保護の受給要件見直しなど「セーフティーネットの立て直し」を強く訴え、国民生活に寄り添う社会保障の実現と政権の選択肢となり得る強い党づくりを目指すとしている。
NHK党新人の重黒木優平氏(35)は午前11時20分、NHK横浜放送局前で第一声。政策は党の主張である「NHKのスクランブル放送」を軸に減税、安全保障などを掲げた。
現在の受信料制度について「インフラ整備が進んだ時代にそぐわず、公平性の観点からも明らかにおかしい」と改革の必要性を強調。年金受給者の受信料無料化を公約としたうえで、「現在受信料は生活保護受給者が免除される一方、年金受給者が免除されないのは不公平だ」と強く訴えた。
共産新人の浅賀由香氏(42)は午前10時半ごろ、JR鶴見駅東口で第一声。これまで一貫して訴えてきたスローガン「8時間働けば普通に暮らせる社会へ」を掲げ、格差社会是正や社会保障の拡充を訴える。
女性や若者、非正規労働者が追い詰められる社会の現状を問題視。富裕層に応分の負担を求めて財源を確保し、中小企業支援や所得引き上げなどに取り組むことに意欲を見せる。ジェンダー平等や教育、福祉に注力し、全ての人が安心して暮らせる社会を目指すとしている。
立民新人の水野素子氏(52)は午後2時15分ごろ、横浜駅西口で第一声を上げた。2人の子供を育てるシングルマザーという一生活者の立場と、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に長年勤務し、国際交渉などを担ってきたという2つの視点を政治に反映させるとしている。
「消費税を時限的に5%へ引き下げ」「最低賃金を段階的に1500円へ引き上げ」などの経済政策のほか、「個性を伸ばす教育」「あらゆる『ハラスメント』を根絶」などといった施策も掲げ、支持を訴える。
NHK党新人の橋本博幸氏(39)は午前11時8分、NHK横浜放送局前で第一声。自身が発達障害に悩んだ経験から、「障害者やマイノリティーの支援に取り組みたい」と訴えた。
「現在の集団授業ではなく、児童・生徒ごとの興味や習熟度に応じた選択制授業がいいのでは」と学校教育の制度改革を提唱。「障害者や性的少数者(LGBT)など孤独になりがちな人が悩みを共有し、助け合える社会を目指す」と強調した。選挙期間中は街頭演説、ポスター貼りで政策を発信する。
公明現職の三浦信祐氏(47)は午前10時半ごろ、桜木町駅前広場で第一声。理系出身で、防衛大学校准教授の経歴を持つ初の国会議員という立場から、「日本の技術を前に」を政策の第1に掲げ、「科学技術の力を伸ばして、世界で勝てる日本へ」と訴える。
また、国土強靱化に、十分な予算を確保するとしている。本県の魅力をさらに引き出そうと「観光立国神奈川を確立へ」をうたい、「三浦半島の魅力創出へ、食と体験型観光の促進を図る」などの具体案も掲げる。